ピーチ、需要創出は順調-14年は沖縄拠点化、東南アジア検討も

  • 2013年12月24日

MM代表取締役CEOの井上慎一氏 2012年3月就航以来路線を拡大し続け、現在14路線に1日50便以上を運航しているピーチ・アビエーション(MM)。2013年9月17日には搭乗者数300万人を突破しており、同社代表取締役CEOの井上慎一氏によると、2014年1月には400万人を達成する見込みだ。来年は沖縄の第2拠点化を検討し、さらに路線を拡充していくという井上氏に、今年1年の振り返りと今後の展望を聞いた。

搭乗率、成田線は9割、国際線は訪日好調
13年度単年度黒字へ慎重な取り組み

 井上氏は2013年について、「我々にとってもかなりチャレンジの年だった」とし、「お客様にこだわりぬいたスピード感のある事業展開」をおこなったと説明した。MMは4月に関空/仙台線、6月に関空/石垣線、9月に関空/釜山線と沖縄/石垣、台北線、10月に関空/成田線に就航。同社の13年度上期の平均搭乗率は当初目標を10%上回る約85%となっており、10月に運航を開始した成田線も搭乗率約9割と「予想をかなり上回る実績」だという。

 また、国際線では訪日需要も好調に推移。台湾線は約6割が台湾発となっており、香港も強い需要がある。韓国も「(需要は)それほど弱くなく、ロードファクターも下がっていない」という。中華圏ではMMの名称を「楽桃航空」とし、インパクトのあるネーミングと、ラッキーシンボルの桃を入れたことなどで、現地から親しみをもってもらっているとの分析だ。

 なお、MMは2013年度の単年度黒字達成、2015年度の累積損失を一層を目標にかかげている。同氏は「単年度黒字は事業として成立することを示す」とし、「黒字にならないと単なる安売り会社と言われる。我々はとてもシリアスに今の状況を捉えている。慎重に脇を固めて今年度を過ごしている」と話した。


新規需要の掘り起こし「実績が出てきた」
ブランディング強化で他社との差別化も

内藤ルネとコラボし、特別塗装機も運航 MMの顧客層は航空機に初めて搭乗する人が多く、1回乗ると短期間でリピートするのが特徴。井上氏は「就航後新たな需要を創出すると言ったが、ここに来て実績が出てきた」との見方を示した。

 例えば関空/仙台線の13年度上期の搭乗率は89.3%で、MMによると日本で最も搭乗率が高い路線だ。他社の伊丹/仙台線の利用者数は前年同期と同じ約46万人で、MM単独路線の関空/仙台線は約12万人。MMだけで大阪/仙台間の旅客需要を26.5%増やしたことになる。

 井上氏はこうした新規掘り起こしの秘訣として、安全運航、定時運航に徹することを挙げた。MMの4月から7月までの就航率は99.8%、上期の定時運航率は約85%を維持しているという。

 さらに、安価な運賃を提供と、ブランディングの強化で他社との差別化をはかることも秘訣の1つだ。井上氏は「差別化をしない限りやがて価格競争だけに陥る」とし、ブランディングの重要性を強調した。MMでは内藤ルネとコラボレーションし「日本のカワイイ」をアピールするとともに、篠田麻里子さんを公認CA(カンパニー・アンバサダー/宣伝大使)に起用。航空会社で初めてGirls Award出展もおこなった。

 また、井上氏は12月20日に運航を開始したバニラ・エア(JW)についても言及。JWはレジャーの中長距離路線、MMは片道4時間の短距離路線であるため「ビジネスモデルが違うので競合とは思っていない」とした。需要の食い合いについては、MMはFITがメイン、バニラはグループ需要の取り込みをはかっているため「需要が違うのでは。何より、MMは拠点が関西なので違う」との考えだ。