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名鉄観光、支店長が語る支店運営成功の鍵-全国支店長会議から

  • 2013年4月4日

震災経験から省みる「備え」
求められる営業の継続性

盛岡支店長の川村勲氏  人数の多い銀座、なんば支店とは異なり、支店長の川村勲氏が率いる盛岡支店は社員数7名と少人数だが、東日本大震災発生時の苦難を乗り越えて営業成績を残している。

 3月11日の地震の後、同支店では週明けの3月14日まで社員1名の安否がわからないという混乱した状況にあった。その一方、3月14日には競合他社の盛岡支店が宿泊手配に関する企画書を復興支援関係の団体に提出していたことが後に発覚。川村氏がそれに気づいた時には内陸の宿はすべておさえられてしまっていて、結果的に他社が何十万泊分の宿泊を取り扱うこととなった。

 スタードダッシュは遅れたものの、盛岡支店は取引先との日頃の良好な関係づくりが奏効し、窮地を脱することができたという。ポイントとなったのは「最後は取り合いになる」と予想されるバスだ。

 川村氏はバス会社の社長にボランティアバスの業務委託を一括して取り扱わせてほしいと提案。すぐに発注はこなかったものの、最終的には盛岡駅前から被災地まで毎日日帰りバスを5台から10台運航し、計1万2000人を乗車させるに至った。

 「今回、震災が金曜日だったから週末を挟んだが、あれが月曜日だったら営業を持続しなければならなかったかもしれない。他社が営業しているのに名鉄は営業しないわけにはいかないだろう」と川村氏は省みる。事業、営業の継続性を保つためには、災害時を想定した提案資料を予め作成して社内の情報共有ツールに保管するなど、緊急備蓄に加えて日頃から営業的な備えも必要とした。

 「特別に何をしたということではない」という安藤氏、「支店の数字をあげるための特効薬はない」という浅田氏の言葉通り、成功している支店にあっと驚くような仕掛けや施策があるわけではない。しかし、浅田氏は「色々な要素が重なりあい、地道に積み上げることで目標を成し遂げる」とし、支店長の演出力で社内を盛り上げ、主役の営業マンを引き立てて目標達成を推進すべきと語った。

取材:安井久美