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海外旅行業況、5年9ヶ月ぶりに総合プラス、3ヶ月後も好況持続

  • 2012年6月27日
賑わう成田空港出発ロビー(2012年6月10日撮影)

 日本旅行業協会(JATA)が2012年5月15日から5月30日まで実施した旅行市場動向調査で、現況(2012年4月~6月)の海外旅行全般のDI値(※)がプラス4となった。海外旅行全般のDI値がプラスとなったのは、2006年9月以来、5年9ヶ月ぶりのこと。発表に立ったJATA総合企画部広報部グループマネージャーの勢子浩之氏は「リーマンショック前、燃油サーチャージが上がり始めたころまで回復していると各社実感しているようだ」と景況感の回復具合を説明。3ヶ月後の見通しでもプラス5となっており、各社とも現況の維持を見込んでいる。

 各社のコメントでは「自粛ムードからの解放感」「円高の追い風」があがっている。3ヶ月後の見通しでも「円高、燃油サーチャージなどの見通しは不透明」としながらも、「全体的に大きな影響はない」との意見が見られる。

 方面別でも全体的に伸びている。好調の韓国がプラス22でトップだが、3ヶ月前と同様の数値。3ヶ月後にはプラス20と微減となり、「少し息切れを感じているか」(勢子氏)と指摘する。このほか、中国、アメリカ・カナダも大幅に増加した。また、顧客層別では、今回大きく動いたのが商用・視察で28ポイント増のプラス2に躍進。また、引き続き主力のシニアも好調だ。3ヶ月後は夏の家族旅行への期待が高い。

 国内旅行は全体のDI値が22ポイント増のマイナス2となり、2008年9月以来のマイナス1ケタ台となった。調査時がスカイツリーの開業時期にあたったこともあり、東京がプラスに転じて牽引。全体的に震災前を超える水準になっているが、東北に関してはまだ完全回復には至っていない。

 なお、勢子氏は気になる点として、業態別の景況感の違いを指摘した。海外旅行については、ホールセラーがマイナス12となり、3ヶ月前よりも低下しているが、リテーラー1(取扱額30億円以上)はプラス47と大きく上昇した。一方、国内旅行では、リテーラー2(取扱額30億未満)がマイナス10となったのに対し、総合旅行会社はプラス10、ホールセラーがプラス9となっている。


※DI値は設問事項に対し、「良い」、「普通」、「悪い」、「取扱なし」の4回答を用意、この回答からシェアを算出するもの。「全て良い」場合にはプラス100となる。JATA調査では、JATA会員会社の経営者などに対してインターネットでアンケートを実施し、業態、顧客層、方面別に業況判断をDI値を導出している。