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現地レポート:クロアチア、ドブロブニク路線増加で新商品の可能性も

  • 2012年6月7日

海外旅行の高頻度層中心に人気が安定化
アクセス利便高まり、新ツアーの可能性も

クロアチアの個性を加えるコナブレ、ツァブタット

雰囲気のあるレストラン「コナボスキー・ドゥオーリ」

 日本人旅行者が増えるほど課題となってくるのがリピーターへの対応だ。クロアチア政府観光局によると、実際にツアーで訪れた人が再訪するなどFITが増えているという。

 今回、昼食に寄ったのみだが、空港のあるコナブレ地域の内陸部は、新しい可能性を感じさせた。車で30分ほどしか離れていないが、沿岸部のドブロブニクとはまた違った表情を見せる。地中海性気候らしい乾燥した地に見えるのに、付近を流れるリュタ川は豊富な水をごうごうと流す。石造りの水車小屋もあり、のどかな田舎の風景が広がる。

生後3ヶ月以内の子牛の肉とジャガイモを鉄の鍋で蒸し焼きに。水は一滴も入れないため、肉とイモの旨みが凝縮

 そんな風車のある「コナボスキー・ドゥオーリ」は、周辺でとれる素材を使ってホームメイドの伝統料理を出すレストラン。今回いただいたのは、名物の生ハムとチーズを前菜に、メインは子牛とジャガイモを塩だけで蒸し焼きにしたメニューで、海の幸の多いドブロブニクとは違った味わいが楽しめる。

コナブレ地方の伝統衣装で接客してくれる。夏は白色の服になる

 日本人のツアーは旧市街の観光で終了するのがほとんどだが、ツァブタット-コナブレ観光局のルシア・ベジリッチ氏は、1週間滞在しても楽しめる素材があると胸を張る。トレッキングやマウンテンバイクなどのアクティビティもあるが、主流のパッケージツアーですぐに取り入れられるのは、伝統料理の食事や空港のあるチリピィでのフォルクローレショーの鑑賞だ。

 このほか、今回は視察できなかったが、古い港町のツァブタットの散策、ワイン用のブドウやハーブを栽培する農家でのアグリツーリズムもあるという。地域の風土に触れることで、クロアチアの個性を加えた味わい深い旅行となりそうだ。ハーブや民族衣装の刺繍、レースなどの工芸品もあり、女性向けの滞在型ツアーの可能性も考えられる。従来の旧市街の観光からツアーのエリアを広げ、いつまでも楽しめるデスティネーションとして大切にしていきたい。



定期便ツアー、経由地あわせた旅程も

AYのビジネスクラス。シニア層を中心にレジャー利用も多い 

 日本人訪問者数の推移を見ると、クロアチア旅行のブームはチャーター便の功績が強い。しかし今後の成長には、安定して送客ができる定期便が欠かせない。

 4月2日にヘルシンキ/ドブロブニク線の運航を開始したAYでは、4月中旬時点で今夏に設定されたツアー分の座席が完売状態になったほどの人気で、手ごたえを感じているという。もともとAYでは夏期にヘルシンキ発のチャーターを運航していたといい、定期便では現地の需要とあわせ乗継需要も見込む。運航日は10月2日までの月、水、土曜日で、日本発土曜日の場合は同日乗り継ぎで18時00分にドブロブニクに着く。月、水曜日発の場合は、ヘルシンキ滞在が必要だ。


ヘルシンキ空港内のラウンジ「オールモスト@ホーム」は家のくつろぎ感を演出したユニークなデザイン 

 AYではパッケージツアー用の販売に注力しており、往路の同日乗継ができるスロベニアのリュブリャナ線との組み合わせが人気だという。将来的にはヘルシンキでの滞在を入れた販売も視野に入れており、女性向けのフリースタイル商品も考えられそうだ。

 なお、ヘルシンキ空港での乗り継ぎだが、クロアチアは非シェンゲン国のため、日本路線との乗り継ぎは同じエリアを利用。スムーズに移動できる。復路のドブロブニク出発から日本帰国までの所要時間は、2時間の乗り継ぎ時間を含め、約15時間だ。




取材協力:フィンエアー(AY)
取材:本誌 山田紀子