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クローズアップ:店頭販売に新しい活路、ネット時代にこそ原点回帰

  • 2012年4月19日

ウェブから対面に繋がる動き 対面販売がさらに重要に

IACE新宿アイランドタワー店支店長の水越丈晴氏  一方、アイエシイ・トラベル(IACE)新宿アイランドタワー店支店長の水越丈晴氏は「アイランドタワー店では現在、7割ほどが電話やウェブによる予約。それでも対面販売を重視している。ウェブで見て来店するお客様も多く、その重要度は増していると思う」と話す。同支店は、新宿西口にあるオフィスタワーの一角。場所柄、学生から近隣企業まで客層は幅広く、クルーズも扱っているためシニアの来店も多いという。

 IACEトラベルではインターネットメインで自社商品のパンフレットを展開。大手ホールセラー商品のパンフレットも店頭に置くものの、自社商品との比較の材料という位置づけで、ほぼ99%が自社商品の販売だ。「旅行会社の存在意義を考えた場合、ありきたりの商品ではなく、オンリーワンの商品を売っていく必要がある。今後も個性的なツアーを強化していきたい」と水越氏。独自視点の商品を売っていくためには、商品内容の説明が欠かせないことから店頭販売が最適という考えだ。IACEでは店舗数を増やしていく方針で、今後も6月下旬に富山に新店舗を開設する予定だという。

 STWの小圷氏も「素材だけならインターネットでいい。最初はスケルトンであっても、どこかでコンサルティングが入って、最終的に内容満載にしたい」と話し、独自性を大切にしていく姿勢を強調する。たとえば、スケルトンツアーでパリ5日間の場合、旅行者と相談することで、参加者の年齢や性別に合わせた宿泊施設を紹介し、空港からホテル間の送迎の有無を確認。モン・サン・ミッシェルやベルサイユ宮殿などのオプショナルツアーも提案する。こうした対面でのコンサルティングを通すことでニーズを的確にヒアリングし、1人1人の顧客に適した旅行が提供できるという。

カギは人材育成、専門性向上が必須

STW販売推進グループ・グループマネージャーの武井良太氏  店頭販売でカギとなるのがコンサルティング力。そのためには直接対面するスタッフの人材育成が求められてくる。IACEトラベルの水越氏は「お客様からのマニアックな質問が増えてきた。専門性の高い知識を身につけておかないと対応しづらいケースもある」と最近の傾向を明かす。水越氏はインターネットでの情報収集とともに、リピーターが増えてきたことに起因すると分析する。

 こうしたなか、IACEトラベルでは全社的な取り組みとして、コンサルティングのできるプロ集団という意識を強めているという。資格手当を設けることで、DSなどの資格取得を奨励。また、セミナーや勉強会などにも積極的に人を派遣し、「経験者から初心者まですべてのお客様に対応できる態勢」を整えたいとする。

 STWでも、資格・検定の奨励や研修旅行への派遣に加え、スタッフのモチベーション向上とコンサルティング力育成のために、評価システムを変更。今期から、今までデスティネーションの方面別に設定していた受注件数などの目標を、個人ベースに変更した。「STWのリピーターになってもらうという考えから、スタッフ個人のファンになってもらうという方向性」と小圷氏は説明する。また、武井氏も「旅行会社の意義を考えたとき、人でなければできないことを磨いていかなければ旅行会社の自力はついていかない」と新しい体制の意味を強調する。