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ホールセール特集(3):高まるネット販売率、店舗とのシナジー効果も

  • 2012年3月7日

紙とデジタルパンフレットの住み分けを

JTBWV商品戦略部マーケティング・広報・パンフレット戦略部長の太田真規男氏 JTBWV商品戦略部長の遠藤修一氏  スマートフォン、タブレット型端末など新しい媒体が普及していくなか、将来的にデジタルパンフレットは広がってくのだろうか。デジタルパンフレットには、コスト負担の軽減、情報の随時更新、流通のスピード化などさまざまなメリットが考えられるが、それが完全に紙に取って代わることはないだろうという意見は多い。

 JTBWVの太田氏は「デジタルの特性を生かせば、かなり利用してもらえるのではないか。ただ単に紙の内容をデジタル化するだけではだめだろう」と話し、デジタルと紙との区別化を主張する。また、JTBWVの遠藤氏は「紙で見ることで商品の品質を実感できることもある。紙の質感が旅心を誘うという面はあると思う」と、紙パンフレットの効用を強調する。

 KNTの田口氏は、「方向性として電子化の流れはあるだろう」としながらも、「(たとえ電子化されても)店頭販売はなくならない。情報が多すぎて逆に違いが分からないというケースが出てくる。そうなると、最後はやはり人に聞くしかない」と話し、パンフレットのデジタル化と店頭販売との協調を説く。

 阪神航空の川上氏は「ウェブでは最新情報を更新できるメリットがある。添乗員の生の情報などもウェブ上で展開できれば、お客様との新たな動線が開けるのではないか」とデジタル化への期待は大きい。

 消費者に“伝える”ことの重要性を意識し、紙パンフレットの刷新が目立った2012年度上期。流通においてインターネットが無視できなくなった現在、デジタルパンフレットの展開、販売店との協力体制、一般消費者の利便性など、どのように進化していくのか。今後の動きに注目したい。

 

取材:山田友樹