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ハワイ担当者に聞く:ジャルパック海外商品企画第1部 若林崇浩さん

  • 2011年7月28日

スポーツ・デスティネーションとしてみたハワイ
“人”の持つ魅力をツアーやサービスに活かす

 企画担当になって初めてハワイの魅力に気づき、ハワイにのめり込んで5年目になる若林さん。数々のスポーツ体験を通して、スポーツアイランドとしての魅力も熟知した上で、経験を活かした商品づくりを行なっています。ツアーに取り入れたプランやサービスは、いつもハワイで出会う人々とのつながりで生まれてきたとか。人間的な魅力が大きいのもハワイならではという若林さんに、スポーツを中心にハワイの奥深さを語っていただきました。

株式会社ジャルパック
海外商品企画第1部 ハワイ・ミクロネシアグループ
アシスタントマネージャー 若林崇浩さん


Q.ハワイの企画担当になられて5年目だそうですね

 東京支店の業務や日本航空(JL)への出向などを経て、企画担当になったのが2007年の春でした。正直ハワイは単なる“ビーチリゾート”であり、それ以上でも以下でもないと思っていたんです。担当になってすぐ、約2週間をかけてハワイ4島を巡る出張の機会があったのですが、その時初めてハワイの魅力の神髄に触れた気がしました。それまで仕事で訪れたハワイとはまったく違う島々の姿に、「ハワイはあなどれない」と悟りました。それからは本や雑誌、DVDなどハワイに関する情報を読み漁りましたね。


Q.若林さんが思うハワイの魅力とは何でしょう

 山や海などの大自然、すばらしいホテル群、便利な都市の顔もありつつ都会すぎないところ、そして食の満足感といろいろありますが、やはり“人”の魅力は格別です。現地スタッフやお店の人などローカルの人々はもちろん、日本人の観光客でさえ思わず挨拶を交わしてしまうような“人を笑顔にする力”を感じます。よくハワイの魅力を“空気感”と答える人がいますが、まさにそれだと思います。ハワイに降り立つと感じる風や花の甘い香り、そして人々をハッピーにする空気感がハワイにはあり、私たちはそれに惹かれるのだと思います。


Q.印象的な出会いについてお聞かせください

手にしているのは、センチュリーライドでのTeam JALパックのウェア

 それはプロ・サーファーのタカさんとの出会いです。名前が同じ「タカ」だったこともあり意気投合したのですが、ワイキキで気軽にできるサーフィン体験を商品化したいと思っていた私と、多くの人にサーフィンの魅力を伝えたいというタカさんの思いが合致し、オプショナルツアーが誕生しました。「タカさんのサーフィンレッスン」は今、当社のサーフィンツアーでナンバーワンの人気を得るまでになっています。

 日本人観光客はハワイでサーフィンって意外とやりませんよね。でも気軽に体験できる機会を提供すると、「やってみたら楽しかった」という声が多いんです。参加者の年齢も性別もさまざまですが、ほとんどの人がその日のうちにボードの上に立てるようになりますよ。


Q.サーフィン以外にはどんなスポーツを体験しましたか

 バイク(自転車)ですね。具体的にはホノルルセンチュリーライドに参加しました。はじめは20マイル(32キロ)くらいにしておくつもりでしたが、楽しくて結局100マイル(160キロ)を完走してしまいました。センチュリーライドはタイムを競う競技ではなく、好きな距離を選んで自分のペースで参加できるという、いい意味での敷居の低さをもっと知ってほしいですね。また自転車は、ハワイの風景を体感するのにちょうどいいスピードの乗り物だと思います。車だと早過ぎますし、走るとつらい、歩くと移動距離が短いというそれぞれの欠点をうまく満たしてくれる感じです。“ハワイでバイク”はハワイ商品にもっと取り入れられていい要素だと思います。


Q.そうした体験が「Team JALパック」の立ち上げに活かされているのですか

プロ・サーファーのタカさんと

 それもありますが、具体的には2010年にブランド名が「JALパック」に統一されたのを機に、「Team JALパック」という名称を全デスティネーションのスポーツツアーで共通に使用することにしました。

 ホノルルセンチュリーライドもJALホノルルマラソンも、1名、2名で参加される方が意外と多いんです。でも、スポーツってチーム感があると熱くなりますよね。そこで当社のお客様で仮想チームをつくり、参加者全員でイベントを盛り上げていくのがねらいです。昨年のうちにウェブサイトのチームとも連動し専用サイトを立ち上げ、今年からは国内・海外ブランドの統一で国内スポーツツアーにも露出し始めました。ロゴやグッズなどを共有しながら、JALパックのスポーツツアーを盛り上げていきたいと思っています。


Q.スポーツ・デスティネーションとしてのハワイの魅力は何でしょう

 ひと言でいえばバリエーションの豊富さです。マリンスポーツひとつとってみても、サーフィンは発祥の地ですし、ダイビングも盛んです。近年はスタンドアップパドルサーフィン(SUP)も人気で、これもハワイ発祥のスポーツなんですよ。ロングボードの上に立ってパドルで漕ぐだけのように見えますが、全身運動ですし、何より高い目線で波の上からビーチを見渡せる魅力があります。

 陸ではバイクやランはもちろん、トレイルランにも注目しています。自然の野山を走るものですが、大会もありますし、これから広まりが期待できるスポーツですね。また、広い意味ではハイキングやゴルフ、マウイ島のジップライン、カウアイ島のチュービング、そしてフラなど、体を動かして体験するものはスポーツといえるでしょう。

 スポーツというと順位や記録といったストイックな一面がありますが、ハワイで体験する場合は、旅行素材のひとつとして多種多様に紹介できます。女性層ならウエアや用具などの形から入って、ファッション感覚で各種スポーツデビューできる気軽さをアピールするのも一案だと思っています。


Q.最後に、ハワイを販売していく上で今後の目標はありますか

 業界全体の課題でもあると思いますが、隣島に力を入れていきたいですね。火山だけじゃないハワイ島(ビッグ・アイランド)、ビーチだけじゃないマウイ島というように、すべての島々にある魅力的な素材や奥深さをもっと知ってほしいと思います。

 昨年のJLのコナ線運休は確かに打撃で、当社でも一時的にハワイ島(ビッグ・アイランド)への数字が落ちました。その状況を変えるためにも、今年からあえて「JALハワイアン・アイランズ」という隣島専用パンフレットを造成・販売しています。誌面作りもツアー内容もこだわりをもっていて、例えば、ジャルパックオリジナルの観光「ホクレア」を全島で設定しました。おかげさまで直行便があった頃と変わらないところまで需要も戻ってきています。

 また、どの商品にもジャルパックならではのこだわりは見せていきたいと思っています。ちょうどホノルルマラソン2011のパンフレットが完成したところですが、今年はアディダスジャパンと全面的にタッグを組んでオリジナルプランを展開したり、休みが取れない方向けの当日帰国コースを充実させたり、またランドオンリーのプランなど間口を広く設定しています。ゴールテントではマツモトシェイブアイスの出張サービスも実現し、ツアーに華を添えることもできました。こうした一つひとつのサービスは、ハワイの人たちと深めたコミュニケーションによる成果の表れだと自信を持って言うことができます。


ありがとうございました