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オーストラリア政府観光局、世界遺産の背景を「物語」で伝える−次年度方針

  • 2008年3月3日
 オーストラリア政府観光局(TA)は昨年9月から、「体感するオーストラリア世界遺産」をキャッチフレーズに日本市場のみを対象としたキャンペーンを展開しているが、次年度(08/09会計年度)は世界遺産となった背景にある「物語」を伝えていく方針だ。TA日本局長の堀和典氏は「今後は『一貫性』と『連携』をキーワードに活動したい」と語り、市場への浸透を目指し、世界遺産を軸に、旅行会社との連携を強めたプロモーションとする考えだ。また、次年度は(1)世界遺産キャンペーンを3年間継続することで浸透をはかること、(2)旅行会社との連携、(3)修学旅行・MICEのシェア拡大、(4)供給座席の余裕を考慮し、プロモーションを実施していくという。

 オーストラリアへの訪問者数は減少する傾向にある。マイナス要因としては航空座席数の減少、オーストラリア・ドルが強い為替相場、燃油サーチャージ額の高騰と逆風があり、レジャーを主力とするデスティネーションとしては厳しい状況にある。このため、TAは昨年から世界遺産に焦点を置き、体験志向型の旅行者を対象としたプロモーションを開始した。これは、世界遺産で興味、関心を高めてもらい、実際に現地を訪れることで、オーストラリアの「人」とふれあい、国、デスティネーションとしての魅力を実感してもらう流れを意識したもの。

 このため、世界遺産プロモーション初年度はオーストラリアの16の世界遺産に焦点をあて興味、関心を高めた。次年度となる08/09年度は既に打ち出した16の世界遺産にまつわる「ストーリー」を紹介していく。堀氏は「今までは世界遺産だから行く、という動きがあったが、これからは知的好奇心をもつ人たちに強くアピールし」ていく。また、実際に体験をした人たちによるクチコミも期待をしており、TAの戦略は世界遺産のPR、ツアーパフレットでの協力、ブログと、現地のツアーガイドのスキル向上となる。特に、世界遺産のストーリーに興味ある人々が現地を訪れた場合、期待に応えるガイドの養成も急務。現地で良い体験をした場合には、クチコミで広がることも予想され、「オーストラリア人」の良さも含め、広がりに期待をしている。

 大手各社ともパンフレットで打ち出す内容について協議を進めており、従来型のパンフレットからの脱却も一部に見受けられる。例えば、価格や日程を各ツアーコースに入れるのではなく、雑誌風に写真や見どころを掲載し、コースはパンフレット後部に一括して掲載するものもあり、「変化」が起こっているという。


▽団体マーケットにも注力を

 また、MICEや修学旅行についても今後、注力をしていく。特に、修学旅行では、学校間の競争が激しくなる中、価格によらない魅力を訴求ポイントとして打ち出す。特に私立高校が7月から8月の夏休み期間に修学旅行と研修を組み合わせ、現地の高校生とともに通学するプログラムを考案し、学校側からのニーズにも幅広く応えられると強調。修学旅行でも、旧来型の100名単位の団体行動から、1学級の小グループ単位の行動に変化していることもあり、オーストラリアでは、自然や都会、英語学習など全てのグループの要望を受けられる多様性も強みとしながら、旅行会社の側面支援をしていく考えだ。