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留学は強力なタビナカコンテンツ-教育事業のISIが旅行業参入

「ISIスタディトラベル本部」設立、まずは海外留学に付加価値
一気通貫のサービスで保護者の負担軽減、差別化へ

中村氏  日本語学校や海外大学の日本校などを運営するアイ・エス・アイ (ISI)はこのほど、東京都知事登録旅行業第3種の認可を取得し、「ISIスタディトラベル本部」を立ち上げた。海外に留学する日本人をアウトバウンド、日本語学校などに入学する外国人をインバウンドと位置づけ、教育事業の付加価値として渡航手配などのサービスを提供するほか、新規の学生の獲得に向けて「留学と旅行」の2つの側面を持つ教育旅行プログラムの開発などにも取り組むという。同社グループの概要や旅行事業の立ち上げの経緯、今後の展開について、同社マーケティング統括部統括部長の中村知弘氏に話を聞いた。なお、本インタビューは3月上旬に実施。同社は現在、留学事業については一時停止している。

-まずはISIグループの事業概要や、日本人の海外留学の現況などについて教えてください

中村知弘氏(以下敬称略) 総合教育機関として日本語教育事業、専門学校・大学の運営事業、留学事業、学生寮運営などの教育関連事業を展開している。今年度のグループ売上高は約37億円となる見込みで、中核の日本語教育運営事業が全体の6割を占める。日本語学校は東京に2校、京都と創業の地の長野に各1校あり、今年度に新規で募集した生徒数は3500名を超える。これまでに受け入れた外国人留学生は1万8000人ほどで、出身国は128ヶ国・地域に上る。現在、日本語学校は全国に800校ほどあるが、生徒数の規模は国内最大級となる。

 専門学校は東京と長野でビジネス外語カレッジを運営しており、大学については、北京の国家重点大学で外国人向けの中国語・中国文化教育を実施している北京語言大学の東京校を5年前に開校した。東京校の生徒は日本人が3割、中国以外の他国が7割で、1年間勉強すると北京本校に編入することができる。

 日本人を海外に送り出す留学事業の昨年度の売上高は約2億円で、グループ全体に占める割合はまだまだ小さいが、日本人の海外留学は増加傾向にある。累計ではこれまでに約4000人を世界各地に送り出しており、今年も300人ほどを送り出す予定だ。年齢別では高校1年生と2年生が多いが、2020年には小学校3年生からの英語教育が開始されるので、幼少期からの英語教育に熱心な親も増えており、留学の低年齢化が進んでいる。

 留学期間は短期から半年、1年ぐらいまでが多く、留学先はやはり英語圏が中心で米国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの順に多い。ヨーロッパでは英国が人気だが、費用が高めなので最近はマルタやアイルランドなども増えており、価格重視型の留学生にはフィリピンやマレーシアなども選ばれている。