18世紀に宮廷画家として活躍、スペインを代表する画家となったフランシスコ・デ・ゴヤは、サラゴサ近郊の町フエンデトドスの出身。絵画の修行のためサラゴサで若き日々を過ごしたゴヤは、その後肖像画を描く宮廷画家として頂点を極め、ナポレオンのスペイン支配による動乱の時代を経て、82歳で亡命先のフランスで没しています。ゴヤの作品が残るフエンデトドスとサラゴサを巡って、ゴヤの波乱に満ちた生涯に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

 

サラゴサから45km郊外の町フエンデトドスには、ゴヤの生家が残されており、往時の様子を偲ぶことができます。18世紀初期の簡素な農家のたたずまいの家で、内部には当時使われていた典型的な家具や調度類が置かれています。1階は入口へと続く通路や家畜小屋、台所からなり、質素な生活ぶりがうかがえます。すぐ近くには版画美術館があり、ゴヤ自身の世界観を表す一連の4つのテーマで知られる版画が展示されています。



1908年の万博で使われた古いパビリオンを利用して造られた美術館で、館内は大きく考古学と美術の2つのセクションに分かれています。考古学セクションには先史時代からイスラム教徒による支配の時代までの貴重な出土品が展示されています。一方、美術セクションには12世紀から現代に至るまでの美術作品が展示されており、ゴヤの油絵も多数見ることができます。なお、サラゴサ美術館にはプリモ・デ・リベラ公園に2つの分館があり、それぞれ陶磁器と民族学に関する展示が見られます。



自画像やポートレートなど、ゴヤが手がけた14作品が展示されています。館内の「エスパシオ・ゴヤ」こと「ゴヤの空間」は、16世紀に建てられた邸宅の一部サラゴサの代表的な見どころの一つであるインファンタのパティオ。それらのパティオをイベルカハ銀行が買い取って修復した後、近代建築の銀行本店内に、一つ一つの石を移すという地道な作業を経て、オリジナル通りに復元したものです。



16世紀に建てられたルネッサンス様式の建造物、ロス・パルドス宮殿にある美術館で、ファサードや中庭、円柱などは一見の価値があります。館内には前衛美術から水彩画、ルネッサンスやバロック様式の宗教画、現代美術や18世紀および19世紀の作品とデッサン画まで、多彩なジャンルの作品が800点以上展示されています。中でも必見なのが、カモン・アスナル氏が所有したゴヤの作品の数々で、ゴヤ専用の展示室で観賞することができます。