エブロ川が大きく蛇行する流域の河岸に設営された万博会場は25ヘクタールで、東京ドーム約5個分の広さ。隣接する河川沿いの緑地帯には、万博の憩いの場である広大な「水の公園」も設けられます。会場内はメインテーマ「水と持続可能な開発」に沿って、3つのテーマ・パビリオン、6つのテーマ広場、参加国別パビリオンやスペインおよびアラゴン州パビリオンなどが点在しており、まさに見どころの宝庫。そのなかでもハイライトとなるパビリオンや見どころ、楽しみ方を一挙紹介します。

 

会場の中心、スペイン・パビリオンに隣接した施設で、地球上にある、それぞれ地理的に異なる5つの大河(ナイル、アマゾン、メコン、ダーリン、それに地元エブロ川)の環境を再現した、河の水族館。各大河に生息する動植物を見ることができます。海の水族館が一般的な中、大河の様子が見られる河の水族館はとても珍しいもの。建物の屋上から流れ落ちる滝が夜間はライトアップされ、幻想的な風景も必見です。



建築家ザハ・ハディドによる斬新な外観の橋パビリオンは、サブテーマ「水-唯一の資源」に沿ったメイン展示場。全長270mの2階建ての建物で、万博会場への入口の役割も果たしています。内部は歩くためのスペースと、展示の空間が一体化したユニークな構造となっており、水資源の危機や有効な活用法について学ぶことができます。



高さ73mのガラスの塔で、建築家エンリケ・デ・テレサが手掛けた、水のしずくをイメージにした外観が印象的。入口にある「水のカーテン」をはじめ、水しぶきを模した彫刻のスプラッシュ、流れ落ちる水の音を再現したオルガンなど、サブテーマ「生命にとっての水」にまつわる展示が楽しめます。シースルー・エレベーターで最上階にいくとドリンク・バーがあるほか、展望台からは会場を一望することもできます。



フルービーは、120の候補から選ばれた、サラゴサ万博の公式マスコット。水のしずくがモチーフになっています。カタルーニャ出身のデザイナー、セルジ・ロペスによるもので、テレビCMや街頭広告などでスペイン国内では、すっかりお馴染みとなった万博の顔の一つ。マグカップやTシャツ、携帯ストラップ、ぬいぐるみなどグッズも充実しており、万博みやげには欠かせない存在となりそうです。



万博会場に隣接した河川沿いの緑地帯で、東京ドーム25個分を超える広大な公園。園内は自然のままの景観を保全するエリアと、その他のレクリエーション・エリアの2つに分かれて、9ホールのゴルフのショートコースや手漕ぎボートなどが楽しめる貯水池、レストランなどの施設があるほか、川を使ったラフティングやサイクリング(レンタサイクル有り)などのアクティビティーも体験できます。万博に訪れた際は、スペインの青空の下、水の公園でアクティビティー三昧の一日を過ごしてみてはいかがでしょう?


万博会場内では、食の楽しみもハイライトの一つ。スペイン各州の名物料理が味わえるセルフサービスのフードコートがあるほか、日本館内の和食レストランなど、16カ国がパビリオン内でレストランを設営、自慢の味を披露します!スペイン・パビリオンやアラゴン州パビリオン、それに河川アクアリウム内にもレストランが併設されます。このほか、ファーストフードやキオスクなどで、気軽に食事をとることもできます。



水の公園には、高さが何と5階建てのビルに相当する巨大水車がお目見えします。直径が16mあるという、この水車はシリアの「水車の町」として有名なハマから招かれた水車職人の手によるもので、1秒間で45ℓの水を取り入れることができます。巨大水車のある風景は、夏のサラゴサで清涼感あふれるワンシーンとなることでしょう。



サラゴサ万博では、日が落ちてからも華やかなお祭りムードは続きます。毎夜10時30分からはエブロ川に浮かぶ氷山を舞台に「アイスバーグ:ビジュアルと詩のシンフォニー」を上演するほか、エブロ川の円形劇場で開催される「音楽の夕べ」など、夜中の3時まで多彩なイベントやショーが繰り広げられます。会期中、万博会場からは午前4時まで交通機関が用意されているので、サラゴサの眠らない夜を心ゆくまで楽しむことができます。



巨大水車のすぐ近くには、万博の会期を表した太陽電池の時計が設置されます。これはソーラー電池で動き、通常の時計と同様に1日の時間を示すとともに、万博の残りの会期を知らせる役目も果たします。6月14日10時の万博の開幕時に時計の針が水中に沈み、時を刻みはじめます。そして9月14日の閉幕時には水中から出てくる仕組みとなっています。