K-POPや韓流ドラマからグルメ・ファッションまで、至るところで見られる近年の韓国ブーム。2023年に訪韓した外国人を国・地域別に見ると日本が最も多く、強い人気を誇っていることがわかります。
ただし、近いとはいえ韓国は海外。予算やスケジュールの都合などで、韓国に行きたくても行けない人もいるでしょう。そこで本記事では、日本国内にあるコリアンタウンを、日韓夫婦である筆者が紹介。コリアンタウンで実際に楽しめることや各スポットの魅力を、韓国文化に詳しい筆者ならではの視点で解説するので、「日本で韓国っぽさを感じたい」という人はぜひ参考にしてください。
日本のコリアンタウンの魅力
東京や大阪、名古屋など、日本国内に複数あるコリアンタウン。その最大の魅力は、国内で気軽に本格的な韓国カルチャーに触れられることです。
特に日本最大級のコリアンタウンである新大久保や、鶴橋・生野は、体験できるアクティビティーの数が豊富。グルメやファッション・ショッピングから、韓国料理教室や近年話題のワッペンワークまで、幅広い韓国カルチャーを満喫できます。
韓国から直輸入した雑貨や食品を販売するお店、現地顔負けのおしゃれなカフェなどもあり、「韓国っぽさ」を存分に味わえる場所といえるでしょう。
日本のコリアンタウンで楽しめること
韓国で経験したいと思うアクティビティを、手軽に体験できる点が魅力のコリアンタウン。ここでは、日本のコリアンタウンで楽しめる特に人気の高いアクティビティを4つご紹介します。
サムギョプサルなどの韓国料理
韓国旅行の一番の目的として挙げられることも多い韓国グルメ。サムギョプサルやビビンバなどの定番はもちろん、タコがメインのナッコプセや、豚の内臓・肉・野菜などを煮込んだスンデクッパなど、韓国通に人気のメニューもコリアンタウンで食べることが可能です。
メイン料理を味わえるお店だけではなく、ホットクやピンス、トゥンカロンなどのデザート・スイーツを楽しめるお店も豊富。チキンやキムチ、韓国おでんをテイクアウトできるお店もあるので、食べ歩きも満喫できます。
さらに、韓国インテリアでまとめられたおしゃれカフェや、「チメク(※1)」で乾杯できる居酒屋も!日本にいながらにして、韓国の食文化を思う存分堪能できることでしょう。
※1 フライドチキンとビールをセットにした食べ方のこと。「チキン(치킨)」と韓国語でビールを意味する「メクチュ(맥주)」から名付けられている
韓国コスメ・ファッション
コリアンタウンには、韓国コスメやファッションを楽しめるお店が豊富にそろいます。時期によっては、本場韓国に引けをとらないほどお得な値段でコスメや衣類を購入できるお店も。
コスメにおいては、新大久保や鶴橋・生野には品ぞろえが豊富な大型店もあるため、現地で流行しているアイテムや話題の商品も手に入るでしょう。アパレルに関しても、韓国から直輸入した服や雑貨、アクセサリーなどを取りそろえるお店が複数あります。
韓国コスメやアパレルはオンラインショップなどでも手に入りますが、特にアパレルの場合、実物を見たり試したりしてから購入したい人もいるでしょう。実店舗で気軽に韓国コスメ・アパレルを手に取りたい人にとって、コリアンタウンはおすすめのショッピングスポットといえます。
カフェやグッズ販売ショップなどでの推し活
K-POP好きにぜひおすすめしたいのが、コリアンタウンにあるカフェやグッズ販売ショップなどでの推し活です。コリアンタウンには、人気の韓国アイドルの誕生日会が開催されているカフェや、有名グループのコンセプトカフェなど、K-POP好きなら一度は訪れたいカフェやショップが点在しています。なかには、「推しの聖地」と呼ばれる場所も。
推しのK-POPアイドルのグッズや写真などで埋めつくされた空間は、ファンにとって夢のような場所です。また、同じアイドルを推す仲間に出会える可能性もありますよ。K-POPアイドルが好きな人は、コリアンタウンでの推し活も楽しんでみましょう。
韓服を着ての写真撮影
韓国の伝統衣装である韓服(ハンボク)。日本では「チマチョゴリ」の名で通っていますが、チマチョゴリは女性用の衣装のみを指すものであるため、現地では「韓服」と称される傾向があります。
華やかな色使いや趣のある曲線美などが魅力的な韓服は、実はコリアンタウンでも着用が可能!本場の韓服を着てスタジオ撮影をしたり、外出してコリアンタウン内で撮影をしたりと、自由に韓国の伝統衣装を楽しむことが可能です。
お店によっては種類も豊富で、韓国の時代劇ドラマに出てきそうな鮮やかで豪華なものから、結婚式などで着用されるパステル調の可愛らしいものまで、用途や好みに応じて選択できます。
現地では朝鮮王朝の王宮である「景福宮(キョンボックン)」で韓服を着るプランが人気ですが、新大久保には、景福宮が描かれた背景スクリーンの前で写真を撮れるお店もありますよ。渡韓や旅行気分を味わいたい人に、おすすめのアクティビティでしょう。
定番から穴場まで!日本のコリアンタウン一覧
幅広い韓国カルチャーを、日本国内で手軽に味わえるコリアンタウン。東京の新大久保と大阪の鶴橋・生野が有名ですが、実は国内のさまざまな地域にコリアンタウンが点在しています。ここでは、定番から穴場まで、日本にあるコリアンタウンを一覧にして紹介していきます。
【東京】新大久保|日本を代表するコリアンタウン
新宿区にある新大久保エリアは、日本国内でも特に規模の大きなコリアンタウンとして知られています。韓国カルチャーのメッカともいえる場所で、週末には多くの人が来訪。大通りを歩いていても、なかなか前に進まない時間帯があるほどです。
新大久保の魅力は、なんといっても体験できる韓国カルチャーの豊富さでしょう。定番グルメを味わえる数々の韓国料理店はもちろん、ネオンが特徴的な韓国風屋台やSNSで話題のおしゃれカフェ、日本最大級の韓国コスメ店、韓国風プリクラを撮れるお店など、韓国好きならぜひ足を運びたいスポットがそろいます。
また、現地で大流行した「カップドーナツ」や自分好みのコスメがつくれる「DIYコスメ」など、トレンドを取り入れたお店も多数。
韓国旅行さながらの雰囲気や、最新の韓国カルチャーを味わいたい人にとって、マストスポットともいえる場所です。
【大阪】鶴橋・生野|関西で韓国気分を満喫するならここ!
新大久保と並び、国内有数のコリアンタウンがある街として知られる大阪の鶴橋・生野エリア。それぞれのコリアンタウン間は徒歩で移動可能で、多くの人がショッピングや食べ歩きなどを楽しんでいます。
JR大阪環状線「鶴橋」駅西口からすぐのところにある商店街周辺が、「鶴橋コリアンタウン」と呼ばれるエリア。キムチなどの韓国食品や屋台グルメ、韓服などを販売するお店がひしめき合う様子は、規模は違えど現地の市場を思い起こさせます。
「生野コリアンタウン(正式名称:大阪コリアタウン)」までは鶴橋駅から徒歩で20分ほどかかりますが、道中には韓国食品スーパーやK-POPアイドルのグッズを取り扱う雑貨屋、コスメショップなどが多数あり、散策を楽しみながら向かえるでしょう。
それぞれのコリアンタウンとその周辺には、韓国料理の人気店などのほか、スタイリッシュなおしゃれカフェ・推し活を楽しめるショップ、韓服を着用して写真を撮れるフォトスタジオなど、豊富なスポットがそろいます。
関西で韓国気分を満喫したい場合は、鶴橋・生野を訪れてみましょう。
【愛知】名古屋駅裏地区|中部地方では最大のコリアンタウン
韓国総領事館がある名古屋には韓国系の住民が多いといわれており、「名古屋駅裏地区」と呼ばれるエリアに、中部地方では最大のコリアンタウンが広がっています。
韓国食品を取り扱う企業が経営するスーパーやキムチ店、ハングル文字の看板が掲げられたお店や韓国風の焼肉店などが建ち並び、ちょっとした韓国旅行気分を味わえますよ。
スンドゥブやサムギョプサルなどに舌鼓を打てる人気店のほか、周辺には「香港飯店0410」や「ネネチキン」など現地ブランドの日本支店もあり、十分に韓国グルメを楽しめます。
新大久保や鶴橋・生野のようなインパクトはありませんが、名古屋を訪れた際はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
【山口】下関|朝鮮半島と深いつながりを持つ「リトル釜山」
韓国第二の都市・釜山と姉妹都市提携を結んでおり、朝鮮半島と深いつながりを持つ下関。韓国系住民が多く住んでいるといわれている街で、JR下関駅から歩いて5分のところにある「グリーンモール商店街」が、下関コリアンタウンの中心地として知られています。
入り口にある色鮮やかな釜山門が、グリーンモール商店街のシンボル。周辺には、本格的な韓国食品を取り扱うお店や焼肉店などが複数建ち並び、韓国気分を味わいながら買い物や食事を満喫できるでしょう。
また、毎年11月23日には「リトル釜山フェスタ」が開催。韓国伝統舞踊や韓国グルメを中心とした屋台、韓服着付体験などが楽しめるので、時期を合わせて訪れてみるのもおすすめです。
【東京】三河島|「都内最古のコリアンタウン」でディープな体験
都内のコリアンタウンというと新大久保が真っ先に思い浮かびますが、実は東京都荒川区の三河島エリアに、「都内最古のコリアンタウン」として知られる場所があります。
三河島は戦前から韓国系住民が多く暮らすエリアで、生活に根差した韓国文化に触れられる点が特徴。小さな韓国料理屋や風情のある手作りキムチ店、リーズナブルな焼肉ランチ店などが点在しており、新大久保とはまた違った韓国カルチャーを体験できるお店がそろいます。
「よりディープな韓国を体験したい」「韓国の家庭料理をゆっくり味わいたい」という人におすすめのコリアンタウンです。
【神奈川】横浜市中区福富町|横浜周辺で気軽に韓国気分を味わえる場所
神奈川県横浜市中区にある福富町は、韓国料理屋や韓国食材店がいくつか見られることから、横浜のコリアンタウンとして知られるエリアです。韓国家庭料理を提供する老舗店や、サムギョプサルを味わえる焼肉店、屋台料理を楽しめる居酒屋風のお店など、飲食店の選択肢は豊富。韓国製のお菓子や食品などを取り扱うスーパーもあり、買い物もできますよ。
新大久保のような派手さはありませんが、JR根岸線関内駅から徒歩10分程度とアクセスが良いので、横浜周辺で気軽に韓国気分を味わうのに適したスポットといえるでしょう。
【神奈川】川崎|「セメント通り」と呼ばれるコリアンタウン
神奈川県にあるもうひとつのコリアンタウンが、川崎市にある通称「セメント通り」と呼ばれるエリア周辺です。「知る人ぞ知るコリアンタウン」ともいわれているこのエリアには、大正から戦時中にかけて朝鮮半島から多くの人が移り住み、焼肉店や韓国食材を扱うお店が建ち並ぶようになったのだとか。
韓国の食材を直輸入しているお店もあり、リーズナブルな価格で本場の料理を味わえることでしょう。また、例年4月中旬には「かわさきアジアンフェスタ」が開催され、韓国・朝鮮舞踏や屋台グルメを楽しめる点も魅力。
番外編【福岡】大名|韓国料理店や韓国系ショップが増加中の注目エリア
福岡市中央区にある大名は、九州最大の繁華街である天神のすぐ隣に位置し、飲食店やショップが充実している場所です。そんな大名は、数年前から韓国系の飲食店や雑貨店が増えてきており、「リトルコリアタウン」とも呼ばれているのだとか。
チーズタッカルビやスンドゥブ、タッカンマリなどの定番韓国料理に舌鼓を打てるお店や、韓国屋台風のお店、韓国食品・コスメ・雑貨を取り扱うスーパーまで、韓国カルチャーを味わえるスポットが複数そろいます。
「セマウル食堂」「ネネチキン」など韓国ブランドの日本進出店もあり、これからの発展がますます気になるエリアですよ。
コリアンタウンで韓国気分を満喫しよう
韓国料理やコスメ・ファッションから、推し活・韓服での写真撮影まで、豊富な韓国カルチャーを体験できる日本のコリアンタウン。新大久保や鶴橋・生野などの韓国トレンドを楽しめるコリアンタウンはもちろん、三河島や福富町など、ディープな雰囲気に触れられるコリアンタウンも魅力的です。
予算やスケジュールの都合で韓国に行くことが難しい場合は、日本のコリアンタウンで手軽に「韓国っぽさ」を味わってみてはいかがでしょうか。