温泉の源泉数と湧出量で日本一を誇り、「おんせん県」として人気の高い大分県。国内外から多くの観光客が湯治を楽しみに訪れますが、実は県民にもあまり知られていない穴場の観光スポットが数多くあります。
今回は、大分県に何度も足を運んだ筆者が、同県のディープなスポットを「温泉」「離島」「絶景」「マニアック」の4つのジャンルに分けてご紹介。大分ならではの自然や文化に触れてみれば、きっと特別な旅の思い出になるはずです。ぜひ本記事を参考に、大分の新しい一面を見つけてみてください。
大分観光の「温泉」穴場スポット

温泉には単純温泉や硫黄泉など全10種類の泉質がありますが、そのうち8種類もの泉質の温泉が湧出しているのは、日本でも大分県のみといわれています。さらに、異なる泉質の湯に順番に入浴することで、美肌効果やダイエット効果などが期待できる「機能温泉浴」を楽しめるのも大分ならでは。
ここでは、そんな「おんせん県」大分にて穴場すぎる温泉を4つ紹介します。知る人ぞ知る温泉や自然に囲まれた秘湯などをピックアップしましたので、ぜひ足を運んでみてください。
【別府・鶴見】霊園の側にある少し怖い温泉「鶴の湯」
7種類もの泉質が楽しめる別府市内には数多くの入浴施設がありますが、秘湯を知っている人はそう多くないのではないでしょうか。
別府市の鶴見区にある「鶴の湯」は別府三大秘湯のひとつに数えられる、知る人ぞ知るディープな温泉です。温泉までの道中は鶴見霊園という墓地を通る必要があるため、少し怖いと感じる人もいるでしょう。しかし、そんなロケーションとは裏腹に、鶴の湯の湯触りは非常に柔らか。源泉掛け流しの硫黄泉が身体の芯までじんわりと温めてくれます。
また、鶴の湯は無料で解放されている野湯ではありますが、有志のボランティアによって管理・掃除されているため、清潔感があるのもうれしいポイント。温泉のすぐ隣には脱衣所として利用できる掘立小屋もあるので、気軽に湯浴みを楽しんでみてはいかがでしょうか。
なお、鶴の湯は混浴です。入浴前にかけ湯を行うほか、地元の方や先客がいる場合は挨拶をするなど、マナーを守って温泉を楽しみましょう。
鶴の湯
【住所】大分県別府市鶴見1331-8(鶴見霊園の奥)
【アクセス】JR「別府駅」より車で約20分
【営業時間】終日
【別府・明礬】まるで自然の中にいるかのような「へびん湯」
別府八湯のひとつ「明礬(みょうばん)温泉」から少し山道を進んだ先にある「へびん湯」は、自然に囲まれた野湯です。入浴施設とはなっておらず、森の中の川沿いにぽつんとある湯船に自分で入るため、「まさに秘湯」といった雰囲気での入浴を体験できます。
へびん湯の特徴は、湯船が4段になっている点です。それぞれ3人ほど入れる広さがありますが、上の段に行くほど湯の温度が高くなっているので、自分好みの温度で楽しんでみましょう。
なお、温泉までの道中は足場が悪いため、スニーカーなどを履いて行くのがおすすめです。
へびん湯
【住所】大分県別府市鶴見
【アクセス】JR「別府駅」から車で約30分
【営業時間】終日
【湯布院・塚原】大地のパワーを感じる活火山の秘湯「塚原温泉 火口乃泉」
大分観光の人気スポット湯布院にある「塚原温泉 火口乃泉」は、九州でも特に珍しい強酸性の湯が楽しめる温泉です。鉄イオンの多さは全国1位であり、酸性度の高さとアルミニウムイオンの多さは全国2位。その泉質と効能から日本三大薬湯のひとつにも数えられています。
また、塚原温泉は活火山である伽藍岳の中腹に位置しており、火口見学(大人200円)も可能です。地熱や温泉の活動によって白く変質した岩肌を目にすると、大地の力強さを感じられますよ。火口付近からは塚原高原や由布岳といった山の眺望も楽しめるため、湯上がりの休憩がてら散策してみても良いでしょう。
このほか、塚原温泉では温泉の蒸気を使った蒸し卵(6個入り500円)もいただけます。ほんのりと硫黄の香りも感じられ、燻製のような味わいが楽しめますよ。
塚原温泉 火口乃泉
【住所】大分県由布市湯布院町塚原1235
【電話番号】0977-85-4101
【アクセス】
・大分自動車道「由布岳スマートIC」より車で約10分
・東九州自動車道「別府湾スマートIC」より車で約15分
【営業時間】9:00〜18:00 (1〜2月は10:00〜17:30まで)
【公式Webサイト】https://www.tukaharaonsen.jp/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/tukaharaonsenkakounoizumi
https://www.facebook.com/tukaharaonsenkakounoizumi/
【竹田・直入】世界屈指の炭酸泉が楽しめる「ラムネ温泉」
竹田市の直入町にある「ラムネ温泉」では、同地で湧出する “長湯温泉”を楽しむことができます。長湯温泉は炭酸ガスを多く含んでおり、その濃度は世界屈指。血行促進や心臓病に効果が期待できるといわれているのもうれしいポイントです。
炭酸泉の特徴として挙げられるのは、シュワシュワと泡が溢れていることと、お湯の温度がぬるめになっている点。炭酸は温度が高いほど気化しやすいため、冬季は肌寒く感じるかもしれません。しかし、ぬる湯は熱めの温泉が苦手な人にとって魅力的な選択肢です。また、長く浸かっていると身体の芯から温まるため、心地良い温浴を楽しめるでしょう。
なお、ラムネ温泉では炭酸泉の外湯だけでなく、にごり湯の内湯や家族風呂、サウナもあります。外湯は32度、内湯は42度ほどなので、交互に入ってじっくりと温まるのもおすすめですよ。
ラムネ温泉
【住所】大分県竹田市直入町大字長湯7676-2
【電話番号】0974-75-2620
【アクセス】
・JR「豊後竹田駅」からバスで約45分「山脇」から徒歩すぐ
・大分自動車道「湯布院IC」から車で約45分
【営業時間】10:00〜22:00
【公式Webサイト】https://lamune-onsen.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/lamune_onsen
https://www.facebook.com/lamuneonsen
大分観光の「離島」穴場スポット

大分県といえば温泉が有名ですが、さらに穴場のスポットを訪ねたい人は、離島へと向かってみてはいかがでしょうか。大分県内には7つの有人離島があり、それぞれ独自の文化や伝統が息づいています。
ここでは、大分県にある特徴的な4つの穴場の離島を紹介します。気になる島があれば、ぜひ実際に足を運んでみてくださいね。
【東国東・姫島】超小型のエコカーでぐるっと島巡り!「姫島」
最初に紹介するおすすめの離島「姫島」は、国東半島の北側にあります。国東半島の東側には空の玄関口である大分空港があるため、飛行機・バス・フェリーと乗り継いでアクセスすることが可能です。
一島一村の姫島では、のどかな漁村の風景とのびのびとした自然が広がっており、ゆっくりと流れる時間を楽しめます。その一方で、島内は道路や公共施設といったインフラの整備が進められており、超小型電気自動車「ぐるりんカー」をレンタルすれば手軽に移動できるのもポイント。
このほか、グルメなら甘みの強い「姫島車えび」、見どころならキツネの化粧をして踊る「姫島盆踊り(キツネ踊り)」など、魅力を挙げればキリがありません。大分観光の穴場スポットをお探しの方は、ぜひ姫島を選択肢に入れてみてください。
姫島
【住所】大分県東国東郡姫島村
【電話番号】0978-87-2279(姫島村役場 水産・観光商工課)
【アクセス】国東市伊美港から「姫島フェリー」で約20分
【公式Webサイト】https://www.himeshima.jp/
【臼杵・佐志生】海水浴場の水質は最高ランクのAA!「黒島」

臼杵市の佐志生港から渡船に乗ってたどり着く「黒島」は、海水浴におすすめの穴場スポットです。というのも、大分県が実施した調査によると、黒島海水浴場の水質は最高評価のAA。透明度の高い海が広がり、陸地では緑が生い茂っているため南国情緒も感じさせてくれます。
黒島の海開きは例年6月上旬ごろです。海水浴シーズンが始まればカヌーやBBQ、キャンプなどを楽しめるため、ぜひ夏の観光の際に訪れてみてください。
ちなみに、周囲わずか3kmの黒島は歴史的なスポットでもあります。徳川家康に仕えることとなった三浦按針(ウィリアム・アダムス)が漂着した場所であり、島内には4〜6世紀ごろにつくられたとされる古墳もあるため、見どころが豊富ですよ。
黒島(渡船を出してくれる黒島荘)
【住所】大分県臼杵市佐志生5151-2
【電話番号】0972-68-3939
【アクセス】JR「佐志生駅」から徒歩約20分「佐志生港」から渡船に乗り約5分
【公式Webサイト】
https://www.usuki-kanko.com/sightseeing/%e9%bb%92%e5%b3%b6(黒島)
https://www.usuki-kanko.com/hotel/%E9%BB%92%E5%B3%B6%E8%8D%98(黒島荘)
【津久見・保戸島】“日本のナポリ”とも称される「保戸島」
津久見市にある「保戸島」は、急斜面に密集した民家が並ぶ様子から“日本のナポリ”とも呼ばれています。島には平地が少なく周囲は4kmほどしかありませんが、ここはマグロ漁で栄えた歴史があり、漁師が船の上で食べていたマグロ料理が保戸島の名物です。
ひじきをはじめ具沢山な混ぜご飯「ひじきめし」や、見た目のインパクトが特徴的な「マグロのカブト焼き」など、郷土料理には海の幸が使われています。中でも、保戸島に行くなら「ひゅうが丼」は必食。甘い醤油とすり胡麻のタレをマグロの切り身にかけ、熱々のご飯に乗せて食べる料理で、至福のひとときを楽しめる一品ですよ。
保戸島
【住所】大分県保戸島
【電話番号】0972-83-5454(津久見市保戸島航路事務所)
【アクセス】JR「津久見駅」から徒歩約10分「津久見港」から「マリンスター」「ニューやま2号」で約25分
【公式Webサイト】https://tsukumiryoku.com/pages/109/
【佐伯・蒲江】島民よりもネコのほうが多い「深島」
佐伯市の蒲江沖に浮かぶ「深島」は、近年“ネコの島”として密かな人気を集めています。というのも、島民がわずか11人であるのに対し、ネコは約60匹も暮らしているそう。島内を少し歩けば自然とネコが寄ってきたり、のんびりとした漁村風景に癒やされたりと、都会の喧騒を忘れさせてくれる空間が広がっていますよ。
また、深島には自動販売機やコンビニなどはありませんが、カフェや宿泊施設があるためゆっくりと滞在することも可能です。たとえば、島唯一のカフェ「cafeむぎ」では、海を眺めながら軽食やランチをいただけます。特産品の深島みそを使ったランチもここでしか食べられない味なので、ぜひ訪れてみてくださいね。
カフェ&ゲストハウス でぃーぷまりん深島
【住所】大分県佐伯市蒲江大字蒲江浦3248
【電話番号】080-5289-2280
【アクセス】JR「佐伯駅」からバスで約50分「蒲江」下車、定期運航船「えばあぐりいん」に乗船し約35分
【営業時間】10:00〜16:30(メニューにより異なる)
【公式Webサイト】https://fukashima.com/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/deepmarine33
https://www.facebook.com/fukashimacom
大分観光の「絶景」穴場スポット

大分では別府市にある標高約1,300mの鶴見岳から見る初日の出や、湯布院の金鱗湖、豊後大野市の原尻の滝などが絶景スポットとして有名ですが、行楽シーズンはどうしても混雑しがち。
しかし、ここで紹介するスポットは、素晴らしい眺望を楽しめるのになぜか穴場となっています。「大分にしかない景色をゆっくり見たい!」という方は、穴場の絶景スポットを訪ねて旅の思い出に残るひとときを存分に味わってみてください。
【豊後高田】ロマンチックなスポットが続く「恋叶ロード」

国東半島の北西部、豊後高田市の海岸線を走る国道213号の一部区間は、恋がかなう道「恋叶(こいかな)ロード」と呼ばれています。全20kmほどのルート上には数多くの絶景スポットがあり、特別な人と一緒に見ることで仲がさらに深まることでしょう。
レトロな雰囲気が漂う豊後高田市の「昭和の町」をはじめ、海に突き出た場所に建つ縁結びの神社「粟嶋社」や、水平線に沈んでいく夕日を見られる海岸「真玉海岸」などが、写真映えするおすすめスポット。そのほか、「長崎鼻」では広大な花畑に菜の花やヒマワリといった季節の花が咲き誇り、芸術家が手がけたアート作品が楽しめるのも見どころです。
恋叶ロードは恋愛成就目的だけでなく通常の観光地としてもおすすめなので、大分観光を計画されている場合は、ぜひ目的地のひとつに加えてみてください。
恋叶ロード
【住所】大分県豊後高田市新町989-1(昭和の町)
【電話番号】0978-22-3100(豊後高田市商工観光課)
【アクセス】JR「宇佐駅」からバスで約10分「豊後高田バスターミナル」より徒歩すぐ
【公式Webサイト】https://www.city.bungotakada.oita.jp/site/showanomachi/2056.html
【佐伯・上浦】最高の日の出が拝める「豊後二見ヶ浦」
佐伯市上浦にある「豊後二見ヶ浦」は、日の出が拝める絶好のスポット。東の空へと昇る朝日と夫婦岩のシルエットが重なる様子は、特別な瞬間を感じさせてくれます。特に元旦には初日の出を見に多くの人が訪れますが、それ以外の時期は比較的落ち着いて観賞することが可能。静謐(せいひつ)な空間の中に神聖な雰囲気が漂い、心が洗われるような感覚になれる場所です。
夫婦岩の「男岩」と「女岩」を結ぶしめ縄は全長約65mもあり、日本一の長さを誇ります。年末年始は夜間にライトアップも行われ、夜の海にそびえる巨大な夫婦岩は圧巻の見応えです。
豊後二見ヶ浦
【住所】大分県佐伯市上浦大字浅海井浦
【電話番号】0972-32-3111(佐伯市上浦振興局)
【アクセス】JR「浅海井駅」から徒歩約10分
【公式Webサイト】https://www.visit-saiki.jp/spots/detail/09a6859a-cddb-43ad-bd34-5d35bf225b76
大分観光のマニアックな穴場スポット

最後に紹介するのは、大分県のマニアックな穴場スポット。某漫画作品のワンシーンが再現された場所や、洋酒好きにはたまらない場所を紹介します。
いずれも他県では体験できない魅力が詰まっている穴場スポットなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
【日田・大山】『進撃の巨人』のワンシーンを再現!「大山ダム」

日田市の大山町にある「大山ダム」では、漫画やアニメなどで絶大な人気を誇った『進撃の巨人』のワンシーンが再現されています。ダムの下流広場には主人公のエレンをはじめ、ミカサやアルミンの銅像が設置されており、3人がダムを見上げている様子は、初めて巨人と遭遇したシーンを彷彿とさせます。
大山ダムに進撃の巨人の銅像が設置されている理由は、原作者の諫山創さんが日田市大山町出身のため。スマホアプリ「進撃の巨人 in HITA アプリ」を起動し、ダムの壁面にスマホをかざせば、画面上に超大型巨人が出現するのもファンにはうれしいポイントです。
このほか、進撃の巨人デザインのラッピング自転車をレンタルできたり、日田駅南広場にリヴァイ兵士長の銅像が設置されていたりと、日田市ではさまざまなコラボ企画を実施しています。イベントや連休の時期などは混雑する可能性があるので、大山ダムを訪ねるなら午前中や平日が狙い目です。
大山ダム
【住所】大分県日田市大山町西大山
【電話番号】 0973-52-2445
【アクセス】
・大分自動車道「日田IC」から車で約20分
・JR「日田駅」から車で約20分
【営業時間】8:30〜17:00
【公式Webサイト】https://shingeki-hita.com/index.html
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/shingekino_hita
https://www.facebook.com/profile.php?id=100068851450086
https://twitter.com/shingeki_hita
【日田・本庄】洋酒ファンにはたまらない!?「天領日田洋酒博物館」
大分県のお酒といえば、いいちこや二階堂といった焼酎をはじめ、ちえびじんや西の関などの日本酒が有名ですが、洋酒に焦点をあてたスポットがあることはあまり知られていません。
日田市本庄町にある「天領日田洋酒博物館」は、洋酒関連のグッズが展示された全国でも珍しい博物館。ここでは、オーナーが40年以上かけて集めてきた洋酒関連グッズが展示されており、洋酒のボトルやノベルティグッズなどが所狭しと飾られています。中にはアメリカの禁酒法時代に製造された未開封のボトルをはじめ、有名な洋酒から希少な洋酒までがそろえられ、洋酒好きにはたまらないスポットですよ。
館内で特に目を引くのは、蒸留所のポットスチル(銅製の蒸留釜)です。これはニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝さんの蒸留所で初期に使われていたものなのだとか。さらに、館内にはバーカウンターも用意されており、実際にお酒を楽しむこともできるので、お酒好きな方はぜひ天領日田洋酒博物館を訪ねてみてください。
天領日田洋酒博物館
【住所】大分県日田市本庄町3-4
【電話番号】0973-28-5266
【アクセス】JR「日田駅」から徒歩約10分
【営業時間】11:00〜17:00
【入館料】大人800円、小中学生500円、5歳以下無料
【公式Webサイト】https://tenryo-hita-whiskymuseum.com/
【SNSアカウント】
https://www.youtube.com/channel/UC9K2rmcbFW-WF2kDbtIHc-Q
穴場スポットを巡って大分観光を満喫しよう!

大分県は定番の観光地も人気ですが、まだまだ知られていない穴場スポットにもぜひ足を運びたいところです。“秘湯”と呼ばれる珍しい温泉に癒やされたり、離島で自然と触れ合ったりといった過ごし方もおすすめ。また、大分県でしか見られない絶景に心を奪われたり、マニアックな文化に触れたりするなど、特別な体験が大分観光をより印象深いものにしてくれるでしょう。
大分県への旅を考えている方は、ぜひ本記事で紹介した穴場スポットを参考にプランを組んでみてください。