MSCクルーズ、4年以内にアジアに配船-日本市場、FIT層の取り込みも

  • 2014年10月7日

(右から)MSCクルーズのアントニオ・パラディーソ氏、MSCクルーズジャパンのオリビエロ・モレリ氏  MSCクルーズのエクゼクティブ・ディレクター・エマージング・マーケットのアントニオ・パラディーソ氏は、このほど開催した専門誌会見で、今後4年以内にアジアに配船する意欲を示した。

 アジア配船は新造船により船数に余裕が出ることに伴うもの。MSCクルーズでは現在、フランスとイタリアの造船会社にそれぞれ2隻の新造船を発注しており、2018年までに4隻を受領する予定だ。さらに、フランスで2隻、イタリアに1隻それぞれオプション契約を有しており、18年以降も船を増やしていくとした。

 新造船は、まずはMSCクルーズの主要市場である、需要が高い地中海や南米に配船。地中海については需要がかなり高く、夏にはキャビンの取り合いになるほどであることから「今ある需要を満たすことが先決」との考えだ。一方、アジアについてはポテンシャルが高いがまだ市場規模が小さいとし、動向を見ながら「正しい時期を見極めている」が、「遅くとも4年以内にアジアに配船できる見込み」とした。

 また、パラディーソ氏はアジア市場について、港の整備などインフラが整っていないことを弱点として指摘した。大型船を受け入れられる港が少なく、アイテナリーに制限が出ているという。MSCクルーズでは乗客が飽きないよう、地中海クルーズで毎回新しい寄港地を提供しており、パラディーソ氏は「バラエティ豊かな寄港地がお客さまにとって大切」と強調。現状ではアジアでは競合他社と似たような航路になるといい、多様なアイテナリーが組めるよう、港に対する設備投資をおこなっているとした。

 また、パラディーソ氏は日本のクルーズ市場についても言及。アジアと同様、クルーズ市場がこれから発展していく潜在性があるという意味で「エマージング・マーケット」と位置づけているとし、「日本市場はポテンシャルがあるので楽観的に見ている」と語った。

 MSCクルーズジャパンマネージングディレクターのオリビエロ・モレリ氏も日本市場は伸びしろがあるとし、地中海に加え、他の方面にも日本人を送客したいと意気込みを示した。同氏によると、現在はグループや団体旅行が主流だが、今後はオンライン予約の充実などでFIT層も増やしていきたい考えだ。