南アフリカ、日本の成長可能性を重視、アジア全体で増加へ-INDABA2013
ネットワーキングとビジネス機会の創出を重視
アフリカ全体の観光プラットフォームに拡大へ
今年のインダバは5月11日から14日まで、南アフリカ第3の都市ダーバンで開催され、国内外から1386社が出展。バイヤーは前年比3%増の2341人、メディア関係者は11%増802人が参加し、4日間の入場者数は1万人以上となった。日本からは業界関係者が10人、メディア関係者が5人で、旅行会社の半数が東京と大阪以外からの参加だ。
インダバの特徴の一つが、出展者とバイヤーのネットワーキングとビジネス機会の創出を念頭に、イベントやセミナー、サポートシステムなどを用意していること。トラベルショーでは何よりも重要なポイントだが、インダバはより明確にその意図が伝わってくる。
その1つがデジタル名刺ガジェット「POKEN(ポーケン)」を活用した「インダバ・コネクト」だ。POKENはUSBメモリ程度の大きさで、首に下げる名札に付けて配布される。これを相手のガジェットと合わせると、相互の情報を交換することができる。ブースの資料もPOKENの活用でオンライン上からダウンロードが可能。期間中、インダバ・コネクトのアクセスは24万件、電子データの資料は1万4258件が記録されたという。
またインダバでは、南アフリカならではのプロダクトを紹介し、世界に選ばれるデスティネーションとなることも目的としている。そこで今年は、文化や歴史に焦点を当てた「ヘリテージ&カルチャー・パビリオン」を設置したほか、旅行ブロガー会議を開催。インダバに先駆けて各国の著名な旅行ブロガー15名を視察旅行に招待し、南アフリカ各地から旅行レポートを発信する取り組みも行なった。南アフリカ観光局では今後、ソーシャルメディアを活用したデジタル・マーケティングにも力を入れる方針だという。
オープニング・セレモニーでスカウクフェイク観光大臣は「インダバは近代化と拡大化する時期にきた。南アフリカはもちろん、アメリカ大陸全体の観光産業のプラットフォームとしての役割も担っている」と、アフリカの観光をリードするプレゼンスを強調。今年は南部アフリカ開発共同体(SADC)に加盟するザンビアやモザンビークなど13ヶ国から426の出展があったが、来年は成長拡大計画の一環としてさらに拡張させる計画だ。
観光産業は“New Gold”
国の魅力を作り出すのは国民
南アフリカが観光産業を重視する理由について、インタビューに応えたカーサ観光副大臣は「政府は観光をビジネスとしてだけでなく、社会的な側面からも見ている」と説明する。
カーサ観光副大臣によると、2009年の観光業のGDPに占める割合は8%で、鉱業や農業、製造業に次ぐ4番目の産業だ。鉱業や製造業を中心に経済成長をしてきたが、雇用創出は課題だった。そこで、政府は2009年、観光業を主要6産業の1つに選択。持続可能性があり、経済発展と雇用創出に寄与する分野として育てることを決定した。今では「New Gold(金鉱業に代わる新しい産業)」と呼ばれ、主要産業の一つとなっている。
カーサ観光副大臣は「南アフリカの人々が自国の魅力や価値を見出し、観光業が雇用や経済面で人々に貢献していることに気づいたとき、この国の一部であることに誇りが持てるだろう。観光は人に関わるもので、観光業の成功は人を抜きには語れない。南アフリカの魅力、治安を作り出すのは国民だ」とも語る。雇用創出、経済成長に留まらない観光の重要性が、南アフリカの観光施策を強力に推し進めている。
取材:山田紀子