北アフリカ・サヘル地域での安全対策強化を、まずは情報収集
▽安全対策は自助努力が大原則、情報収集の徹底を
荒氏は海外の安全対策について、緊急事態の救出以外は政府に直接依存できず「自助努力が大原則となる」と指摘。現地に企業が進出、訪問する際は、情報収集の強化が重要と説く。萩氏も「事前の現地調査を徹底的にすることが絶対に必要。現地の情勢を掴み、納得した上で進出すること」と強調。大使館やコンサルタントはもちろん、地域有力筋との関係を強化して情報を入手するなど対策をとるとともに、現地社会での交流、貢献活動を通したコミュニケーションも重要とした。
また、衛星電話や無線通信などの通信手段の確保、警備隊、大使館、治安当局との緊急連絡といったホットラインの確保も重要と指摘。進出する企業に対し、退避場所としての隠れ部屋の設定や防弾車などの防護手段の確保、施設内緊急通報システムの設定もポイントとした。このほか、緊急時の対応訓練や、現地スタッフ採用の際のバックグラウンドの確認なども安全対策のポイントとしてあげた。
さらに、萩氏は政府側の動きにも期待を示す。政府はアルジェリア人質事件を受け、在留邦人や海外進出企業の安全対策などを検討する有識者懇談会を開始しており、4月中に提言をまとめる予定。メンバーには同協会副会長で日立製作所リスク対策部長の小島俊郎氏など民間企業関係者が参加しており、萩氏は官民協働の動きの拡大に期待を示した。