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週間ランキング、JTBとHISの社長がTop2-じゃらんがメタサーチ撤退

[総評] 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。とうとうオリンピックイヤーがやってきました。今から8ヶ月後にはオリンピックもパラリンピックも終わっていると思うと、そしてこれを書いている金曜日の段階で新年も10日が過ぎようとしていることを思うと、祭りを前にした高揚感よりもサザエさん症候群のような気分が先に来るのは年をとったからでしょうか。

 さて、そんな2020年最初の週間アクセスランキングで1位になったのは、JTB代表取締役社長執行役員の高橋広行氏(高ははしご高)のインタビューでした。また、僅差の2位はエイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役会長兼社長(CEO)の澤田秀雄氏のインタビューとなっています。両氏には昨年も新春インタビューにお応えいただきましたが、その時の数値でも僅差で高橋社長が上回っており、最大手の注目度を再確認する結果となりました。

 おふたりのお話を並べて読み比べると、2社を取り巻く外部環境は同一であるため問題認識や対策の一部は当然似通ってくるわけですが、逆にM&Aへの姿勢など対象的な考えが出ている点がポイントでしょう。また、ご発言内容という意味では、澤田氏の方が中長期の見通しについて具体的な話をされているのが印象的で、そうした点はやはり創業社長がリーダーシップをとる体制の強みといっていいかと思います。

 とはいえ、何度も当欄で書いている通りそれは諸刃の剣であり、澤田氏のインタビューでもお聞きした事業承継が現実のものとなった際にその強みを保持し続けられるとは限らず、何年後か分かりませんがその時にどのような変化が起きるのか1人の業界関係者として強い興味を覚えます。

 3位以下に目を向けると、3位の日本旅行と7位のJTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBGMT)はいずれも経営戦略に沿った組織再編で、今日の旅行業界らしい話題と感じます。4位はいつも人気の年頭所感ですが、今年はいささか振るいませんでした。どうしてもお定まりというか予定調和的な内容に寄っていきますので、皆様の関心が薄れてしまったのかもしれません。

 このほか、本稿のタイトルにはじゃらんについても記しましたが、これは今週記事を掲載したわけではなく、従ってランキングにも入っていません。記事にはしないけれども、せっかく手に入れたネタなので当欄で簡単に書いておこうという意図です。

 話題としては読んで字の如く、じゃらんがメタサーチ経由での集客から手を引くという話で、すでにトラベルコからはロゴが消え、リクルートの広報も確かに取りやめていっている最中と認められました。本当はなぜその決断をされたのか、今後はどのような戦略をとっていくのかといったお話をご担当者なりにお聞きしたうえで記事を書きたかったのですが、あいにくのゼロ回答で残念です。

 メタサーチにとっては、有力なOTAのコンテンツを横断検索できるから便利、だからこそユーザーを集められる、それがゆえにOTAを繋ぎとめておける、という根本的な事業モデルにほころびが生じる事態であり、なかなか大きな話題かと思います。

 海外では、同様にメタサーチへの出向を減らしてテレビCMなどによるオーガニック流入の強化をめざすOTA側の動きが報じられる一方、ホテルがメタサーチへの出稿を増やしているという情報もあり、やはりオンラインはオンラインで生き馬の目を抜く難しさを感じます。(松本)

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