マカオ、イメージ刷新でめざす修学旅行誘致、歴史・文化・食などアピール

  • 2019年8月6日

榊原氏 マカオ観光局は8月6日、東京で高校の教員らを招いて修学旅行セミナーを開催した。「マカオ=カジノ」の印象が強く、思うように取り込みが進んでいないなか、歴史や文化、食などの多様な魅力を知ってもらい、将来的な誘致を実現するねらい。日本修学旅行協会が後援し、冒頭には同協会理事長の竹内秀一氏が登壇し、海外修学旅行の現状とともにマカオを現地視察した際の様子を紹介した。

 竹内氏によると、海外修学旅行の件数は保護者の納得などハードルの高さなどから増えていないものの、グローバル化への対応が求められるなか、例えば東京都でこれまで9万5000円だった旅費の最高額が今年度から11万5000円に引き上げられ、また期間も長く取れるようになるなど潮目が変わりつつあるところ。東京都では、高校180校のうち2017年に海外を選択したのは24校、18年が26校、19年が29校となっているが、今後はこうした措置を受けてさらに増加していく可能性が高いという。

 マカオの修学旅行の仕向地としての魅力については、竹内氏とマカオ観光局日本代表の榊原史博氏、そしてマーケティングディレクターの斉藤麻帆氏がそれぞれ説明。いずれも、マカオの距離的な近さや香港経由を含めたアクセスの利便性、あるいはホテル客室が多く料金も手頃であること、生徒が直接的にカジノに触れる機会は皆無であること、学びのテーマも豊富であること、学校交流の選択肢も用意されていること、安心と安全が確保されていることなどをアピールした。

 例えば、学びのテーマについて榊原氏は、「南蛮文化の通り道」としてのマカオについて、鉄砲の伝来やフランシスコ・ザビエルによるキリスト教布教、「天正遣欧少年使節」などに言及して日本と世界との関わりを学習できると紹介したほか、中国とポルトガルという洋の東西のほか、最先端を自負する統合型リゾートと世界文化遺産という新旧の対比も可能である点を強調。また、斉藤氏は、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組むマカオの視察なども紹介した。

 このほか、2017年時点で10万人あたりの犯罪発生率が日本が1066件であるのに対してマカオは39件に留まることや、学校交流ではマカオ大学の学生が修学旅行生と一緒に街を案内するプログラムが用意されていること、港珠澳大橋の開通により旅程の広がりが期待できることなども披露。他都市との組み合わせについて榊原氏は、食で有名な順徳と世界遺産を持つ開平という中国の2都市の可能性を紹介した。