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新体制で「変革と創造」、「安心・安全」の取組を再強化-年頭所感(2)

楽天執行役員 コマースカンパニー ヴァイスプレジデント トラベル事業事業長 高野芳行氏(※高ははしご高)

 昨年は自然災害が相次いだ年だった。楽天グループでは、西日本の豪雨や北海道胆振東部地震の直後から募金活動を実施し、被災地全域を支援してきた。また、楽天トラベルでは早急に宿泊施設様の状況を確認しつつ、クーポンを活用したキャンペーンを展開するなど、OTAの柔軟性を生かして各施設の応援に取り組んだ。被害に遭われた地域の宿泊者数が以前の水準に戻り、宿の経営が元通りに回復するまで、応援を続けていく。

 訪日観光客数も自然災害により一時減少したが、これから20年に向けて、力強い伸びが期待される。楽天グループでは、スペインの名門サッカークラブ「FCバルセロナ」や米NBAの強豪「ゴールデンステート・ウォリアーズ」、世界最大規模の障害物レース「スパルタン」などとスポンサー契約を結び、海外向けのブランディングを積極的に実施している。楽天を認知していただいた世界中のユーザーにさらに楽天トラベルをご利用いただけるよう、宿泊施設様と一体となって、より魅力的な商品を開発していく。

Loco Partners代表取締役社長 篠塚孝哉氏

 19年は20年の東京五輪、5G通信の開始前夜という期待感から、全く新しいサービスや産業がたくさん生まれるのではないか。データ、アルゴリズム、デザインの3点が重要味を帯び、この3点を駆使できると強い成長に繋がる。

 昨年はReluxではかなり多くの予約トランザクションが生まれ、ほぼ全ての主要KPIは前年比で2倍程度の伸びを記録できた。他方、データの活用はまだ十分ではなく、ほとんどが勘と経験による改善だ。今年はこれまで溜めたデータを活用し、より一人ひとりに最適化された旅行提案や、スピーディなアップデートをしたい。

 アルゴリズムについては、AIによる機械学習の活用が欠かせない。カスタマーのより良い旅行体験のマッチング数を増やすことがとても重要だ。宿泊施設や社内での生産性向上においても機械学習を有効に活用し、より効率的なマネジメントへと舵を切る必要がある。デザインについては、その全てを科学し、美しく作り上げることが重要だ。より洗練され、明るく活気が満ちあふれ、強固なサービスとしていくためにもデザインは外せない。その価値がこれまで以上に求められる1年になる。

 このほか、旅行業界では中国、ムービー、体験の進化に注目している。今年は訪日中国人旅行者数が1000万人の大台に近づく見込みで、7、8年程度以内には2000万人近くに成長する潜在性もある。ムービーについては「5G通信」開始に先駆けさまざまなサービスが始まり、特にテレビやLIVE配信、VR領域、TikTokなどの容量の大きな高画質ムービー領域が大幅に伸びるだろう。また、今年は体験の進化がより一層進み、ホテル、移動、音楽、アクティビティなど、あらゆるコト(エンターテインメント)が、インターネット、SNS、ARなどと接続されてアップデートされていく。

 19年は世界経済の冷え込みが予想されるなか、今まで以上に「備えよ常に」の精神で進みつつ、一方スタートアップにとって逆風は大チャンスでもあるため、これまで以上に弛まぬ努力と創意工夫をこらしていきたい。

ANAホールディングスCEO 片野坂真哉氏

 1月3日に弊社便において、運航乗務員の乗務前検査でアルコール反応が検出されたことから、合計5便の運航便を遅延させた。ご搭乗のお客様をはじめ関係の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げる。

 19年は30年ぶりの「改元」の年となる。また、ブレクジット、G20、参議院選挙、アフリカ開発会議、ラグビーW杯、消費増税などは航空ビジネスに直接・間接的に影響を与えるものだ。加えて、米中貿易摩擦、米国の金利引き上げ、中国経済の動向、中東情勢は株式市場、為替、原油市況などに大きなインパクトを与えるもので目が離せない。

 19年度は17、18年度に取り組んできた「安全と品質・サービスの総点検」の総仕上げの一年として取り組んでまいりたい。品質・サービスを「ダントツの水準」に高めていきながら、お客様の信頼を取り戻し、東京五輪が開催される20年の成長ステージを迎えたい。

 新しい航空機も次々入る。ハワイ路線に投入するA380型機、アジア路線の増強に充てるB787-10型機、待望のB777型フレーター。路線展開においても2月の羽田/ウィーン線、9月からの成田/パース線など長距離路線を新規開設する。ピーチ・アビエーションとバニラエアの統合が本格化し、いよいよアジアの中距離路線就航に向けた準備に入るとともに、ANAセールスは、新ブランド「ANA Traveler's」を本格的に売り出す。

 働き方改革が政府レベルで推奨されるなか、全グループ社員が自分を磨く場として、総合トレーニングセンターを20年に本格稼働する。女性、外国人、障がい者、シニア、LGBTなど多様な人材の活用で新しい価値創造を生み出すダイバーシティ&インクルージョンの取り組みで、多様な人財を積極的に採用している。また、デジタルイノベーションを活用し、社員一人ひとりの新しい働き方とお客様の満足度を高めるため、ドローン事業、自動運転実証実験、ANA AVATARなど取り組みを進めていく。

日本航空代表取締役社長 赤坂祐二氏

 18年は、JALグループで安全に関わるいくつかの重大な事案を発生させてしまい、12月にはJALが国土交通大臣より事業改善命令を受けるに至った。これらの事案について、経営はじめ社員一同、非常に重く受け止めている。経営が先頭に立ち、強い意志と責任をもって安全体制の再構築に取り組み、お客さまをはじめ広く社会からの信頼回復に向けて全力を傾けていく。

 また、昨年は全国各地で自然災害が多く発生した。迅速な復旧に向けた関係各所の皆様のご協力に感謝申し上げるとともに、JALグループとしても、救援物資の緊急輸送や復興支援の割引運賃の設定など公共交通機関として社会的使命を果たしてきた。今後も被災地復興のために継続して取り組んでいく。

 本年は3月31日より成田/シアトル線を開設し、日本に加えアジアからの乗継利便性の向上と需要にも応えていく。また、高い運航性能、商品競争力を持ったA350型機の国内線への導入を予定しており、お客さまからのご期待に応えられるよう更なるサービスの向上に取り組む。本年も一便一便、お客さまの期待を超えた価値を提供できるよう、JALグループ全社員一丸となって、安全・安心運航を堅持する。