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IATA、次世代BSP、18年以降に順次導入へ-代理店カードにも道

  • 2017年11月30日

 国際航空運送協会(IATA)のメンバー航空会社で構成されるIATA旅客代理店会議(PAConf)がこのほど開催され、IATA代理店と航空会社間の決済における新しい枠組み「the New Generation of IATA Settlement Systems (NewGen ISS) 」の導入が承認された。NewGen ISSはBSPを現代化しようとするもので、BSPの制度が構築されて以降で「最も広範かつ大掛かりな」変化となるという。

 BSPは「IATA Billing and Settlement Plan」の略で、1971年に日本で初めて導入されてから海外にも広がり、現在では約180ヶ国・地域で利用され2016年には2190億米ドル(24兆5240億円)の決済がBSPを通しておこなわれている。

 IATAで財務・流通担当の上級副社長を務めるアレックス・ポポヴィッチ氏は発表文のなかで、「NewGen ISSは、BSPがこれからも業界内の決済需要に応え続けるために必要不可欠」であるとし、「旅行会社のパートナーにはより幅広い選択肢と柔軟性を、航空会社には財務面の安全性をもたらす」と意義を強調している。

NewGen ISSの概要

(1) 代理店の認証を3段階のレベルに分けて実施
(2)「Global Default Insurance」を導入
(3)「IATA EasyPay」システムを導入
(4)「Remittance Holding Capacity(RHC)」制度を導入


 上記4点がNewGen ISSの柱で、(1)は「複数の国で営業している(つまり複数のBSPを利用する)代理店」と「従来型の代理店」、そして「現金によるBSP精算が必要のない代理店」に分けるもので、財務リスクに応じて認証しようとするもの。

 次に(2)の「Global Default Insurance(GDI)」は銀行保証などに対する低コストかつフレキシブルな代替案として設ける保険だが、利用は必須ではなく現行制度の継続も可能。リスク管理や信用保険を扱うユーラーヘルメスが提供し、マーシュとエーオンが代理店となって販売する。(3)の「IATA EasyPay」はプリペイド形式の決済手段で、トランザクションあたりのコストを低減したことが特徴。こちらも利用は任意だ。

 これら3点については2016年のPAConfで承認が得られていたところで、今回は4点目の「Remittance Holding Capacity(RHC)」が新たに認められたポイントとなる。RHCは旅行会社の倒産リスクを最小化することを目的にしており、現金でBSP精算をする代理店について現金による発券可能額を一部制限するもの。

 具体的には、大多数の旅行会社は過去12ヶ月間の精算タームのなかで最も発券額の多い3回分を抽出して平均し、得られた精算額を2倍にした額が1タームの上限(RHC)として設定されることになる。RHCに達するとクレジットカードか上記EasyPayによる決済のみ発券可能になるが、BSPの先払いなどによる制限回避策も設けられるという。また、IATA EasyPayを利用する取引についてはRHCの算出対象外となる。

Transparency in Payments

 発券可能額に制限が設けられる一方、新たな動きとして「Transparency in Payments(TIP)」なる規定も盛り込まれたという。詳細はまだ明らかにされていないが、「個別の航空会社とIATA代理店の間で新たな決済手段を導入するための競争促進的なフレームワーク」であるといい、実現すれば、航空会社との合意が前提にはなるものの例えば代理店名義のクレジットカードでの決済も可能になるという。

 なお、NewGen ISSとTIPは18年3月以降、徐々に導入が進む見通し。現状ではGDIが20ヶ国・地域で利用可能となっており、IATA EasyPayもノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドで試験的に開始されているが、その他の国については計画や方針を含めて発表されていない。しかし、大規模な変更を伴うため実際の稼働に至るまでには相当の準備期間を要するとみられる。