トップインタビュー:旅工房代表取締役会長兼社長の高山泰仁氏

持続的成長には上場が必要
旅行業界の「信頼」回復へ

-海外旅行以外の事業についてはいかがですか

高山 個人事業のうち、国内旅行はエボラブルアジアと提携して航空券と宿泊施設を販売している。今後はLCC各社とのAPI接続を視野に入れており、実現すれば売上高に占める割合は増えるだろう。

 法人事業については、旅工房は親会社がいない旅行会社なので、親会社があるような旅行会社よりも信用力が低い部分があったが、上場したことで信頼性が格段に高まっている。今後は事業に取り組みやすくなると考えており、売上高を毎年20%ずつ増やしていきたい。

 2年前から取り組みを開始した訪日事業では、昨年12月にベトナムに現地法人を設立し、訪日旅行を中心にアジア発の海外旅行需要の取り込みをめざしている。まだ取り組みを始めたばかりだが、今後は法人事業と同様に、売上高を毎年20%ずつ増やしたい。17年度中には英語版のウェブサイトを立ち上げる予定だ。


-上場で調達した資金は人材の獲得や育成などに費やすとのお話ですが、今後の計画を教えてください

高山 4月時点の従業員数は約420名で、このうち正社員は新卒を入れて363名。18年度は40名程度の採用を見込んでいる。社員の平均年収は約420万円で、コストはかかっているが、持続的な成長のために今後も同じくらいの人数を採用する見込みだ。ただし、トラベル・コンシェルジュのノウハウをAIが学習し、お客様に対応するようなシステムの開発が進めば、採用者数を減らす可能性もある。

 社員教育は、専門の教育セクションを設けて取り組みを強化している。人事についても、基本的に専門性の高い社員を育成するため、マネジメント職以外の異動はほぼない。また、我々は36協定を厳守しており、残業代は1分単位でしっかりと支払っている。旅行業界ではサービス残業が当たり前のようになっている部分もあるが、こうした業界の環境を変えていければと思っている。


-てるみくらぶの経営破綻以降、消費者がインターネット系の旅行会社の利用を控える動きもあります

高山 5、6年前はてるみくらぶと比較されていた時期もあったが、我々は2011年以降、ハイブリッド型にシフトし、成長を続けている。今回の上場で、我々がお客様に安心感を与え、旅行業界の信頼回復に努めたい。


-ありがとうございました