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週間ランキング、HISとJTBの逆転1位、コールセンター取材も

[総評] 今週の1位は、観光庁が取りまとめた2017年2月の主要旅行会社取扱概況のなかで、海外旅行の取扱額でエイチ・アイ・エス(HIS)グループ5社がジェイティービー(JTB)グループ15社を上回ったことをお伝えした記事でした。旅行業界にいると様々な場面で両社のライバル意識を目の当たりにしますが、このように数字として逆転が表れると注目も集まって当然という印象です。

 もちろん、JTB側では15社以外にも海外旅行を扱うグループ会社は多いわけで、これをもって時代が変わったなどと断定するのは誤りでしょう。2015年4月からの数値を並べてみると、下図の通り2月は昨年も最も差が小さくなっており、3月以降はまた再逆転する可能性も十分にあります。


 一方で、次のグラフは2社の差額を求めたものですが、上下動は大きいもののトレンドとしては右肩下がり、つまり2社の差が狭まっている様子で、もしかすると今後は逆転と再逆転が頻繁に起きてくるかもしれません。


 個人的には、旅行業界誌の立場としてどちらが上になるかということよりも、健全な競争であってほしいと願うばかりです。JTBとHISに限らず各社が安さに安さで対抗する、あるいは旅行代金はそのままに内容を充実し自社ばかりか取引先の利益まで毀損する、といったことがあれば、海外旅行業界にとっては悪い影響しかないでしょう。

 悪い影響という意味では、現地時間5月22日に英国マンチェスターでまたもやテロ事件が発生してしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。

 旅行の目的となる景観や街並み、食事、音楽、ふれあいなど、その大部分は人間がいなくてはなりたたないものです。突き詰めていうと旅行とは人の営みを愛することではないかと思っているのですが、その「人」がこのように無差別に他の命を奪ってしまえるということをどうしても受け止められません。

 もう少しドライに旅行業界への影響だけを考えても、ようやく回復途上にあった欧州への旅行需要は間違いなく水を差されるでしょう。マクロで見れば他の場所へ需要がシフトするだけといえるかもしれませんが、その代替デスティネーションでテロが起きないとは誰もいえません。

 結局のところ個人レベルでできることは限られているわけですが、旅行業界としてもう少し真剣に平和について考え、その実現に向けてイニシアティブを取っていくことはできないものかと思ってしまいます。もちろん第6位の記事のようなリスク対策も極めて重要ですが、このまま行くと旅行どころではない世の中すら想像できてしまいます。

 なお、2位にはJTB熊本リレーションセンターで働くお二方のインタビューが入りました。こうした現場で働く方に焦点を当てたコンテンツは業界誌ならではの価値ではないかと感じており、今後も様々なお立場の方にお話しをお聞きしていきたいと考えております。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年05月19日0時~05月26日13時)
第1位
主要49社、2月の海外旅行は2.9%増-HISが6年ぶり首位(17/05/21)

第2位
インタビュー:JTB熊本リレーションセンターの植村さん、西村さん(17/05/24)

第3位
HIS、台湾ホテルグループの子会社化完了、自社ホテル30軒に(17/05/23)

第4位
ジェットスターが中部拠点化、特別運賃「758円」-まずは国内線(17/05/24)

第5位
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第6位
旅行会社は「重大事故支援システム」活用を-日本アイラック国原氏(17/05/23)

第7位
インドネシア・エアアジアX、成田/バリ線就航、日本発初便は9割(17/05/25)

第8位
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第9位
ピーチ、年内にビットコインで決済可能に、国内航空会社初(17/05/22)

第10位
「インバウンド連合会」が発足記念サミット-サイト開設も(17/05/21)

※訂正案内(2017年05月27日12時10分)
・訂正箇所:グラフ
年の誤りを修正しました