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オーストリア・ウィーン、マリア・テレジア生誕300周年‐特別展情報

  • 2017年4月22日

 ハプスブルク家の中でも、オーストリアを統治した唯一の女性である「マリア・テレジア女大公」は、1717年5月13日生まれ。人気の高い「女帝」に敬意を表して、2017年には多くの展覧会が開催されます。

 マリア・テレジア(1717~1780)は例外的な統治者です。

 父の皇帝カールVI世が男子のないまま世を去ったので、彼女は1740年から、オーストリア大公領を統治する最初で唯一の女性為政者となりました。夫君のフランツ・シュテファン・フォン・ロートリンゲン(1708~1765)が神聖ローマ皇帝に即位した後も、実質的な統治者は彼女でした。このためマリア・テレジアは「女帝」と呼ばれました。もちろん、これは通称で、ボヘミア女王およびハンガリー女王として戴冠した彼女は、決して正式の帝位に就くことはありませんでした。

 相思相愛の夫婦生活は円満で、夫君の時折の浮気はあったものの、皇帝夫妻は16人の子供に恵まれ、そのうち10人が成人しています。ハプスブルク・ロートリンゲン王朝の存続は確たるものとなったのです。多くの子供たちに囲まれたマリア・テレジアの姿は、慈しみ深い国母として歴史を飾っています。

 愛情深い母たる統治者のイメージは、必ずしも歴史の現実と一致するものではありません。

 彼女の子供たちは、オーストリアとフランスの結び付きを強化するため、ブルボン王家との政略結婚に利用されました。それは決して幸せな結婚ではありませんでしたが、マリア・テレジアにとっては権力強化こそ最重要課題だったのです。彼女は顧問官とともに内政改革を行いました。行政、軍制、経済、教育などが近代化されました。1744年に制定された「一般学校制度」は、義務教育の礎となりました。その一方で、プロテスタントとユダヤ教徒は領内から追放しています。

 2017年にはマリア・テレジアの生涯と業績をテーマとする数多くの展覧会が開催されています。

■ 展覧会概要
◎ マリア・テレジア生誕300周年 / 戦略家‐母親‐改革者
〔開催期間〕
 2017年3月15日~11月29日
〔会場〕
 以下の4展覧会場
* 宮廷家具博物館:「家族と遺産」
 マリア・テレジアの結婚政策や数多い記念碑、シェーンブルン宮殿に代表される文化遺産などがテーマです。

* 宮廷馬車博物館(ヴァーゲンブルク:「女性の力&生きる喜び」
 マリア・テレジアが住んだシェーンブルン宮殿での展覧会は、豪華な馬車や衣装の数々や宮廷での日常や豪華な祝宴の様子を再現します。

* ホーフ宮殿(ニーダーエステライヒ州):「同盟者と敵対者」
 大帝国継承に伴う困難の数々、戦争と和平交渉、領土喪失と領土拡張、マリア・テレジアの大規模な外交政策などが紹介されます。

* ニーダーヴァイデン宮殿(ニーダーエステライヒ州):「近代化と改革」
 王朝内の内政や国家体制に関するマリア・テレジアの改革、一般学校制度導入、これらの改革に貢献した数多くの重臣たちが中心テーマです。

〔詳細〕
http://www.mariatheresia2017.at/
◎ マリア・テレジア: ハプスブルク家最強の女性
〔開催期間〕
 2017年2月17日~6月05日
〔会場〕
 国立図書館プルンクザール
〔概要〕
 彼女は今日に至るまで「国母」のイメージで、ハプスブルク王朝の最も重要な女性権力者、王朝のシンボルとされています。オーストリアやヨーロッパにおける彼女の役割、政治的成功と敗北、文化的業績にスポットが当てられます。

 1740年に女帝に献呈され、近年全面修復された豪華本など国立図書館の豊富な所蔵品からハイライトの数々が展示されます。

〔詳細〕
http://www.onb.ac.at/
◎ マリア・テレジア生誕300周年
〔開催期間〕
 2017年6月30日~11月05日
〔会場〕
 ベルヴェデーレ下宮
〔概要〕
 この特別展では、マリア・テレジアと美術の関係を分析します。

 当時、肖像画、彫像、寓意的絵画、風景画などの美術は、重要な役割を担っていました。

 ベルヴェデーレ内に宮廷ギャラリーを創設するというマリア・テレジアの決断の背景にもスポットが当てられます。

〔詳細〕
http://www.belvedere.at/
◎ 陛下のお手元に:マリア・テレジア・メダル
〔開催期間〕
 2017年3月28日~2018年2月18日
〔会場〕
 ウィーン美術史博物館(古銭キャビネット)
〔概要〕
 メダルは18世紀において、最も重要な芸術的マスメディアでした。

 それらは「観賞用の記念コイン」だったのです。

 美術史博物館にはマリア・テレジアのメダルを集めた第一級のコレクションがあり、それらの逸品が展示されます。

〔詳細〕
http://www.khm.at/
◎ マリア・テレジア時代の磁器とプライバシー
〔開催期間〕
 2017年3月20日~10月07日
〔会場〕
 アウガルテン磁器博物館
〔概要〕
 この特別展は、マリア・テレジア時代の貴婦人のプライベートルームや寝室に焦点を合わせるものです。当時の磁器工房は、こうしたプライベートルームを飾る多種多様な新しいフィギュアを生み出しました。

〔詳細〕
http://www.augarten.at/
◎ 教会、修道院、女帝‐マリア・テレジアとオーストリアの宗教
〔開催期間〕
 2017年3月04日~11月15日
〔会場〕
 クロスターノイブルク修道院
〔概要〕
 この展覧会では教会とハプスブルク家の結びつきを紹介します。マリア・テレジアの時代にその関係は特に密接でした。

 2017年5月13日と14日には、生誕300周年を祝うバロックのミサが献げられます。

〔詳細〕
http://www.stift-klosterneuburg.at/
◎ マリア・テレジア生誕300周年
〔開催期間〕
 2017年2月07日~6月03日
〔会場〕
 ショッテン修道院博物館
〔概要〕
 ショッテン修道院内の小規模な展覧会では、修道院資料室が保存するマリア・テレジアに関連する歴史的な文献や印章、紋章、記念メダルなどが展示されています。

◎ マリア・テレジアと音楽
〔開催期間〕
 2017年4月06日~6月23日
〔会場〕
 楽友協会(展覧会ホール、月曜?金曜9時?18時、土曜9?14時、休日閉館)
〔概要〕
 マリア・テレジアは為政者であり、同時に音楽家でした。

 彼女はハプスブルク家の人々の中で唯一、オペラ歌手として舞台に登場しています。

 実権者たる彼女は、音楽の役割、そのステータス、社会的受容への新たな前提条件を生み出したのです。

 展覧会は、彼女の音楽への影響を紹介しています。

〔詳細〕
http://www.musikverein.at/
◎ シェーンブルン宮殿の「マリア・テレジア・ツアー」
 記念すべき2017年にのみ実施される特別ガイドツアーで、ベルグルの間と呼ばれる一連の部屋がご覧いただけます。これはマリア・テレジアが夏季の住まいとしたものでシェーンブルン宮殿1階にあり、彼女の委嘱で画家ヨハン・ヴェンツェル・ベルグルが、壁面から天井までエキゾチックな風景画を描いています。

 この特別ガイドツアーにはベルグルの間に加えて、大小のギャラリー、馬車行列の間、セレモニーの間が含まれています。

〔開催期間・日時〕
 期間: 2017年3月15日~11月29日
 日時: 土~日曜 10時30分(英語)、14時30分(ドイツ語)
〔詳細〕
http://www.schoenbrunn.at/


情報提供:ウィーン市観光局、日本海外ツアーオペレーター協会