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くまもとDMC、「稼げる観光」実現へ-株式会社の強み発揮

ロゴマーク  熊本県への観光客誘致や食のブランディングを目的として昨年12月に設立した日本版DMO(Destination Management Organization)のくまもとDMCは、このほど熊本市内で本誌の取材に応え、「地元の人々が稼げる観光」の実現に向けて、県内の旅行消費額の増加をめざす方針を示した。取締役管理本部長の浦上英樹氏は「地域のコーディネーター役として、効果的なマーケティングや情報発信、着地型素材の開発などに努めたい」と述べ、自社運営による観光情報サイトの開設や、同サイトへの宿泊予約機能の実装などに意欲を示した。

浦上氏  同社は肥後銀行と、同行などが出資するくまもと未来創生ファンド、熊本県の出資により設立。熊本県の出資率は4%程度にとどまる民間主体のDMOで、今年の1月には観光庁が「日本版DMO候補法人」に登録した。その後は第3種旅行業を取得するなど、各種の活動を進めている。

  取締役CMOでマーケティング本部本部長の外山由惠氏は、日本版DMOには一般社団法人が多い一方で、同社は株式会社の「DMC(Destination Management Company)」であることを改めて説明。「DMOのように平等性を求めるのではなく、よりやる気があり、頑張りたい会社などと組んで利益を出し、地域にお金を落としたい」と意欲を示した。浦上氏も、ナイトライフを重視する訪日客向けに温泉地でバーを運営するアイデアについて語った上で、「取り組もうと思えばすぐに実行できるのは、株式会社の強み」と話した。

外山氏 外山氏は、今後は宿泊施設のコンサルティングなどを通じて宿泊を含む観光客の増加をめざす一方で、「見る観光から体験する観光へと転換をはかり、日本人・外国人を問わず、宿泊しない通過客なども重視したい」との考えを示した。九州在住者の日帰り旅行などに期待する考えで、ナビタイムジャパンなど複数の企業から提供を受けたビッグデータを重視して誘客に取り組むという。そのほか、県内の他のDMOや観光協会などとも協力関係を構築する。

 くまもとDMCによれば、15年度の熊本県における旅行消費額は3017億5600万円で、旅行入込客数は5972万3000人、延べ宿泊数は720万2000人泊。九州地震の影響により16年度はそれぞれ2420億円、4800万人、580万人泊と減少する見込みだが、17年度は2660億円、5500万人、720万人泊にまで戻す考えだ。


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