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業法検討会、作業部会を初開催、着地型やランオペで議論

ワーキンググループの様子 観光庁は11月2日、10月6日に初会合を開催した「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」内に設置したワーキンググループ(WG)の初会合を開催した。同WGは政府が「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げた「観光関係の規制・制度の総合的な見直し」に向け、同検討会の下で具体的な議論をおこなうための作業部会。この日は日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)、日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)、日本バス協会などの代表が、着地型旅行の推進やランドオペレーターの規制などについて活発な議論をおこなった。

 会合では、事務局が事前に観光関連団体や地方自治体などに実施したヒアリングをもとに、旅行業法の見直しを視野に入れた論点を提示。各団体からの出席者はそれぞれ立場から、制度設計に対する意見を述べた。WGは11月後半には第2回の会合で中間取りまとめをおこない、検討会に提案。12月中に予定する検討会の第2回会合で議論し、最終とりまとめをおこなう予定だ。

 着地型旅行については、事務局が旅行業の区分の見直しや、地域限定旅行業の規制緩和などに関する論点を提案。第3種旅行業と地域限定旅行業の業務範囲の拡大を提案するとともに、自治体が旅行業をおこなう場合の旅行業登録の必要性や、営業保証金の供託について再検討する必要があるとの見方を示した。また、現在は旅行会社1社の代理のみ許可されている旅行業者代理業について、着地型旅行商品に限り複数社の商品の取り扱いを可能にすることも提案した。

 こうした案に対してANTA副会長の國谷一男氏は、これまでの着地型旅行商品の促進に向けて実施された規制緩和を振り返った上で、現行制度においては旅行会社が第3種や地域限定旅行業などの業種を自ら選択できる状況にあることを説明。「区分の内容を変更して参入業者を増やそうとする政策は、国内旅行業者全体を疲弊させる。健全な旅行業の発展にはつながらない」と主張するとともに「自治体や観光協会など、(民間ではなく)公が主体となる領域を確保するための政策と受け止めざるを得ない」と批判した。

 一方、地方公共団体からの代表は地域限定旅行業が企画・手配できる旅行の範囲が隣接市町村などに限られており、着地型旅行商品を造成しにくい点を指摘。また、地域限定旅行業の営業保証金についても、取り扱える地域の範囲が狭く、販売規模も少ないことを説明した上で「第3種の3分の1の保証金は割に合わないという意見が、地方の業者からも出ている」と伝えた。

 事務局は地域限定旅行業については、研修のみで旅行業務取扱管理者になれる仕組みや、業務範囲に即した試験の創設などを提案。管理者の配置も現在の「1営業所に1名」から、1名で複数営業所の兼務を可能とする案を示した。これに対して國谷氏は「消費者の利益やサービス水準の確保のための制度は必要不可欠」と反論。JATA理事の原優二氏も、日本全国の地理など一部の問題が受験者にとっては不必要であることを指摘した上で「コンプライアンスの問題に絞った試験は実施すべき」と語った。管理者の配置については、両者とも消費者保護の観点から現行の仕組みを継続すべきとの考えを示した。

 このほか、出席者からは自治体と旅行会社がノウハウや人材を共有し、旅行商品の販売で協力する仕組みづくりを求める声が挙がった。また、着地型旅行商品が旅行会社のオプショナル商品として販売されるケースが多い現状を踏まえて「商品を造成する側は、より幅広く旅行会社経由で商品を販売できるよう、あらかじめしっかりとした予約や精算の方法を確立すべきでは」との意見も聞かれた。

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