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名鉄観光、17年に旅行取扱高1000億円へ、中計の取組強化

  • 2016年9月7日

日紫喜氏  名鉄観光サービスは、2017年度(17年1月1日~12月31日)の旅行部門の取扱高として1000億円をめざす考えだ。3月に同社代表取締役社長に就任した日紫喜俊久氏は、このほど名古屋市の本社で本誌のインタビューに応え、15年度からの3ヶ年の中期経営計画で重点項目として取り組む「重点市場のシェア拡大」と「拡大市場への資本・人財投下」について、引き続き注力していく姿勢を説明。「スピードとサービスの『2つのS』を徹底し、付加価値を提供できる営業にしっかりと取り組みたい」と意欲を示した。

 「重点市場のシェア拡大」では、引き続き教育、スポーツ、社会福祉、官公庁、MICE、宗教の各団体を重点団体と位置づけ、取り扱いを強化する。日紫喜氏は「これらは我々の得意な分野で、市場規模も大きい。よりいっそう伸ばしたい」と述べ、特に同社の強みのある教育、スポーツ、福祉団体に注力することを強調。全国の支店で営業を強化する。

 「拡大市場への資本・人財投下」では、訪日旅行とインターネット販売に注力。訪日旅行は、名鉄グループの持つ鉄道やバス、ホテル、観光施設などを積極的に訴求する方針で、このほど協業を開始したエイチ・アイ・エス(HIS)の海外ネットワークを活用し、中部地方への誘客にも取り組む。5月に開設した名古屋駅前のHISの訪日外国人旅行専門店では、名鉄グループや名鉄観光サービスの旅行商品の販売も実施している。

 このほか、今年3月にアジアの2拠点目として開設した台湾事務所で日本発・台湾発ともに教育旅行の取り扱いを強化。中部運輸局や旅行業界の各社が連携して進める「昇龍道プロジェクト」についても「我々が先頭を切って進めていきたい」とした。

 インターネット販売は、BtoCの海外旅行予約サイト「旅.pad」での販売を強化。パッケージツアーに加えて航空券やホテル、オプショナルプラン、レストランなど、多様な商品を予約できる利便性をアピールする。15年度のインターネット販売の取扱高は約70億円だが、17年度には100億円規模にまで拡大したい考えだ。

 日紫喜氏は16年度の取扱高については、前年並みの900億円強を予想している旨を説明。海外旅行はテロの影響などで「全体的に厳しい状況が続いている」ものの、燃油サーチャージの廃止や円高などを追い風に、回復傾向にあると語った。方面別ではオーストラリアなどが好調に推移し、東南アジアも堅調という。

 国内旅行は「比較的堅調」で、九州地震により教育旅行を中心に大きな被害が出たものの、「九州ふっこう割」などの活用や、グループ全社での支援キャンペーンなどにより落ち込みを軽減できるとの見通しを示した。9月中には団体営業の担当社員を対象に、熊本県や大分県などへの研修旅行を実施し、テコ入れをはかる。訪日旅行については円高などにより夏は伸び率が鈍化したものの、増加は継続しているという。

※インタビューの詳細は近日掲載予定