ANTA、16年度は安全対策など強化、バス事故受け

  • 2016年7月3日

ANTA会長の二階氏  全国旅行業協会(ANTA)は6月29日、第52回の定時総会を開催し、2015年度の事業報告と決算、16年度の事業計画案と予算案を承認した。また、今年2月に同会が創立50周年を迎えたことを記念して式典をおこなうとともに、3月に「国内観光活性化フォーラムinかごしま」で採択した「安全・安心の旅の提供」などを謳う記念宣言を改めて発表した。

 16年度は例年通り、国内旅行業務取扱管理者試験の事務代行事業や、各種の研修事業、苦情処理および弁済保証事業、「東北・東日本観光復興支援キャンペーン」などの調査・広報事業に注力する。そのほか、予算を前年度から約25%増額して社員指導事業を拡充。旅行業法や標準旅行業約款などに関する指導をおこなうほか、1月に発生した軽井沢でのスキーバス転落事故を受けて、安全対策セミナーを強化する。

 総会終了後の創立50周年記念式典では、会長の二階俊博氏が挨拶し、「会員各社の奮起や努力、工夫により50周年を迎えることができた」と出席者に謝意を表明。また「観光が21世紀の基幹産業となることを、誰もが認める時代になった」と述べた上で、「本日を起点として、5500社が力をあわせて新たな歴史の幕を開き、ともに前進しよう」と呼びかけた。

観光庁次長の蛯名氏  観光庁長官の祝辞を代読した次長の蛯名邦晴氏は、このほど政府がまとめた「九州の観光復興に向けての総合支援プログラム」において、16年度補正予算のうち180億円を充てる「九州観光支援のための割引付旅行プラン助成制度」を新設したことを説明。「本制度ではとりわけANTA会員各社の協力が不可欠」と強調し、協力を求めた。

 そのほか、この日は15年度の新規入会が320社、退会が214社となった結果、正会員数は5459社となり、O7年以降では初めて増加に転じたことが明らかにされた。同会によれば、近年の外国人旅行者の増加などを受けて、訪日旅行に注力する旅行会社や旅行業登録のある地域の観光協会など、従来の会員企業とはタイプの異なる企業や団体の入会が増えているという。