【九州地震】田村長官、訪日旅行への影響を懸念

  • 2016年4月20日

 観光庁長官の田村明比古氏は4月20日に開催した業界誌向けの会見において、14日夜に熊本で発生した地震による訪日外国人旅行者の減少に懸念を示した。地震を理由とするキャンセル数については未だ全体を把握できていないが、九州への訪問者が多い韓国の大手旅行会社へのヒアリングによれば、すでに約3000人が九州旅行をキャンセルしたという。田村氏は「(他の地域についてはそれほどではないが)九州旅行のキャンセルはかなり出ている」と語った。

 その上で「地震が続いているなか、被災地の観光は難しいが、被災していない地域については『被災していない』という情報を伝えていかなければならない」と強調。「東日本大震災の経験を踏まえて、震災による(風評被害の)ダメージを最小限にする努力について考えていく必要がある」と語った。

 田村氏は震災時の外国人に対する情報発信について「大手の観光関係企業でも、自社の情報を英語で発信できていない」と指摘し、改善の必要がある旨を強調した。日本政府観光局(JNTO)では現在、グローバルサイトで地震発生情報や交通機関各社の状況などを英語で提供しているが、JNTOが英訳をしなければならない情報もあるという。

 また、JNTOのウェブサイトや、緊急地震速報をプッシュ配信する外国人旅行者向けアプリ「Safety tips」などのツールについても「外国人に見てもらうためにどうするかが課題」と語り、認知度などを検証していく考えを示した。

 そのほかには、地震により被害を受けた温泉旅館などの施設に対するサポートについて言及。当面の生活費や施設の再建費用などについて「融資などのメニューを中小企業庁と連携して作っていくことになるだろう」と説明した。