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コスタ、16年夏に日本発着クルーズ10本-日本支社も開設

  • 2015年11月17日

(左から)コスタクルーズ日本支社長の糸川雄介氏と、アジア地域担当エグゼクティブ・シェフのアンナ・キム氏  コスタクルーズは2016年夏、「コスタビクトリア」(約7万5000トン)で、日本発着の5泊6日のクルーズを計10本運航する。7月から9月までの期間に、福岡、舞鶴、金沢、境港の国内4港と釜山をあわせた計5港を巡るもの。夏休みを中心に短期間のクルーズを訴求することで、ファミリー層など新規顧客の取り込みをはかる。同社は13年から旅行会社のチャーターで日本発着クルーズを展開していたが、自主運航は今回が初めて。運航に先駆け、11月に日本支社を開設した。

 11月16日の業界誌インタビューで、日本支社長にこのほど着任した糸川雄介氏は本誌などのインタビューに応え、日本クルーズのターゲットとして、従来のシニア層に加えてクルーズ未経験者、若者層、ファミリー層などの新たな客層の獲得をはかる考えを示した。コスタビクトリアの最大定員数は2394名で客室数は964室。集客目標は10本計で1万2000名とした。同社によると、6割が日本発、2割が韓国発、残りの2割がアジアを中心とした第3国発となる見込みだ。

日本支社長の糸川雄介氏 糸川氏は日本市場での顧客の開拓のためには「休暇を取って参加しやすい短期間のクルーズが重要」と強調した。今回のクルーズではカボタージュの規制を踏まえた上で、日程を短くするために東京や横浜、神戸などに立ち寄らず、日本海側の港を利用し、海外港として釜山に寄港する。拠点は福岡で、福岡、舞鶴、金沢、釜山の4港での乗下船に対応する。糸川氏は福岡については九州や中四国、舞鶴は関西と中部、金沢は北陸や関東などで集客をはかると説明。現在はクルーズ単独の商品だが、将来的には鉄道などの地上交通と組み合わせた商品を提案していきたいとした。さらに、今回のクルーズでは終日航海日がなく、寄港地観光を毎日楽しめる旅程に設定。「クルーズ初心者にとってハードルが低く、旅行会社にとっても売りやすい」と語った。

 11月16日には東京で日本支社開設を記念したレセプションを開催した。18日に大阪、20日に福岡で同様のレセプションをおこなう予定だ  販売は、まずは旅行会社に対するBtoBで展開していく。コスタクルーズの日本のPSA(Preferred Sales Agent:優先的販売代理店)はJTB首都圏、JTB九州、近畿日本ツーリスト個人、クルーズプラネット、阪急交通社、西鉄旅行、読売旅行、ベストワンクルーズ、オーバーシーズトラベルで、すでに11月16日からほとんどの旅行会社で商品の販売を開始。糸川氏は日本支社の開設により旅行会社との関係を強化し、PSAの数も「2016年末までに倍に増やしたい」と語った。日本支社では旅行会社へのサポートとして、コスタビクトリアに乗船するファムツアーを実施する予定。日本発着クルーズに加え、日本以外でコスタビクトリアに乗船するツアーも検討しているという。

 さらに、糸川氏はBtoCについても言及。近い将来には日本語版のウェブサイトを開設し、直販もおこないたいとした。そのほか、コスタクルーズの認知度の向上にも取り組み、プロモーション活動を強化していく。すでに全国紙に全面広告を出稿しており、今後はウェブサイトやソーシャルメディアを活用した告知活動もおこなっていく予定だ。

レセプションではコスタ・グループ・アジア社長のブディ・ボック氏が登壇。日本支社開設と日本発着クルーズの実施について喜びを示すとともに「ぜひ皆様と船上でお会いしたい」と参加した旅行会社に呼びかけた  また、糸川氏はコスタクルーズについて、「乗った瞬間からイタリアの雰囲気を味わえる」とアピール。船内ではイタリア料理を提供するほか、オペラ、仮装パーティー、イタリア語教室、料理教室など、イタリアならではのアクティビティを楽しめるという。また、日本人向けには日本食の朝食などを用意するほか、船内放送や新聞、寄港地ツアーを日本語で提供する。

 クルーズ料金は5泊6日コースで福岡発着の内側クラシックキャビン2名1室利用の場合、大人1名6万9800円から。港湾税やサービス税は別途徴収する。なお、1つのキャビンにつき大人2名分の通常料金を支払った場合、同室を利用する13歳未満の子どもについてはクルーズ料金を無料にする。