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南ア航空、エボラ風評に反論「アフリカ南部は無関係」-巻返しはかる

  • 2015年5月2日

SA日本支社長の小野直子氏 南アフリカ航空(SA)は4月28日、旅行会社を招いてイベント「AFRICAN NIGHT」を開催し、低迷が続くアフリカ南部への日本人観光客数の回復に協力を求めた。アフリカ南部は、近年は順調に日本人観光客数を増やしていたが、昨年夏のアフリカ西部におけるエボラ出血熱の流行により、アフリカ全土のイメージが低下したことから、2014年については大幅に減少。SAは現在、香港/ヨハネスブルク線のデイリー運航をおこない、全日空(NH)とのコードシェアで日本人を送客しているが、やはり大きな被害を被っているという。

 冒頭で挨拶したSA日本支社長の小野直子氏は、「西部以外のアフリカでは1人も感染者が出ていないのに、南部の観光は少なからず影響を受けている」と説明。エボラ出血熱の流行以前は「日本人旅行者数は20%から30%の伸びを示していた」と報告するとともに、「旅行会社によるツアー参加者へのアンケートにおいても、アフリカ南部は満足度が非常に高い」と強調し、出席者に理解を求めた。南アフリカ観光局によれば、2013年の日本人旅行者数は前年比22.2%増の4万2045人で最多記録を更新。SAの日本市場売上高も、約75%をレジャー需要が占めていたという。

SAアジア太平洋地区総支配人のコバーニ・マンコッチョワ氏 続いて登壇した、駐日南アフリカ共和国大使のモハウ・N・ペコ氏は「アフリカ南部はエボラ出血熱の流行地からはるか遠く離れている」と述べ、安全を約束。SAアジア太平洋地区総支配人のコバーニ・マンコッチョワ氏も「日本のマーケットはきっと復活する」と期待を示した。乾杯の音頭を取ったUTIジャパン代表取締役の井上照夫氏は「アフリカ南部については、問い合わせが少しずつ増えてきている」と伝え、復調の兆しが見えることに期待を示した。

 小野氏によれば、昨年にエボラ出血熱の流行が拡大した7月から8月頃は、ジャカランダの花が咲き、アフリカ南部観光がピークを迎える10月を目前にした大事な時期。結果的にSAも大きな打撃を受け、2014年度の売上高は前年度比で約23%減と落ち込んだ。流行の拡大がピークを越えた後は、ビジネス客については回復したものの、観光客は「回復の兆しは見えるがまだまだ遅い」状態。イスラム教過激派によるチュニジアやケニアでのテロ事件なども影響していると考えられるという。

 SAでは現在、アフリカ南部の観光資源の魅力の訴求と、エボラ出血熱に関する正しい知識の普及に向け、韓国や中国など極東アジア諸国との合同による視察旅行を、旅行会社向けやメディア向けに実施しているところ。そのほか、今後は一般消費者に向けて、改めてデスティネーションとしての魅力をアピールするキャンペーンなどに取り組むという。なお、SAはエボラ出血熱の流行の中心地であったギニア、シエラレオネ、リベリアには就航していない。

マリンバ奏者を招いてのミニコンサートも開かれた SA北アジアリージョナルセールスマネージャーの邢福川(シン・ルーシャン)氏によれば、エボラ出血熱の流行以前の香港/ヨハネスブルク線のロードファクターは約90%。その後、一時は50%から60%程度にまで落ち込んだものの、現在は約80%にまで盛り返しているという。邢氏は、イールドマネジメントに貢献していた日本人の利用者は低迷しているものの、代わりに中国大陸およびアフリカ南部からの利用者を獲得して、収益性の維持に努めている旨を説明し、日本人利用者の再拡大に意欲を示した。