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入社式で社長訓示、変化をチャンスに、柔軟な対応を

  • 2015年4月2日

 旅行関係企業各社は4月1日、2015年度の入社式を開催した。発表のあった各会社の社長訓示では、旅行業界の環境の変化に触れ、変化をチャンスに変える積極的な行動と柔軟な対応の必要性についてが語られた。また、2020年の訪日2000万人を踏まえ、急速に増加する訪日外客の需要への取り組み強化を挙げる内容が多く見受けられた。各社の入社式での社長訓示から抜粋して掲載する。(訓示を発表した会社のみ、50音順)


▽旅行会社
エイチ・アイ・エス(HIS):668名入社(外国人新入社員37名含む)
代表取締役社長 平林朗氏

 2015年の旅行市場は、転換期と言われる。昨年度は、出国日本人数が1690万人に対し訪日外客数は1340万人だったが、現時点における訪日外客数が出国日本人数を逆転するかもしれない環境の変化が起きている。出国日本人の海外での消費額が約7万5000円であるのに対し、訪日外客の国内での消費額は約15万円。すでに倍以上となっており、今後の大きな可能性を示している。

 また、インターネットでの旅行情報の検索では、パソコンよりスマートフォンからのアクセスが多くなり逆転している。これは端末が変わっただけではなく、使用する場面が変わるということ。スマートフォンは移動中もいつでも気軽に利用ができる。店舗を利用するお客様も、来店時には、スマートフォンで同時に情報を収集されている。スマートフォンを通じたビジネスが今やスタンダード、世界基準になっている表れといえよう。

 環境が大きく変わっていく中、皆さん自身もどう変わっていくか、今日という日を未来の姿を考える日にしていただきたい。夢、目標は高いほど遠いほどいい。だが20年後を考えることはたやすいことではないだろう。まずは3年から5年先を見つめて経験を重ねていくこと。最初の3年から5年の仕事の仕方で、その先長く続く仕事の仕方が決まっていくといっても過言ではない。

 HISグループは、旅行事業、テーマパーク事業、ホテル事業、運輸事業など、「世界ブランドH.I.S.」に向けて挑戦すべく、世界中で様々な事業拡大をはかっている。市場の変化は加速し競争は過熱している。皆さんの優秀で若い力は会社の成長に欠かせないものであり、原動力となる。若い力と挑戦する強い気持ちを持ち、新たなグループの成長軌道にむけて、共に挑戦していこう。


近畿日本ツーリスト:99名入社(KNT-CTホールディングス 約320名)
代表取締役社長 小川亘氏

 近畿日本ツーリストは2013年から「KNT-CTホールディングス」の団体事業会社となったが、今年は創立60周年の原点回帰の年。当社は日本で初めて修学旅行専用列車を運行させるなど、斬新なアイディア、バイタリティ、そして先を読む力で当時の旅行業界に新しい風を吹かせた。業界でいち早く宿泊予約システムを導入し、旅行会社で初めて東証1部に上場した。さらに業界初の海外チャータービジネスの参入、夜行スキーバス商品化などを創造し、今の当社がある。常に「はじめて」にチャレンジし続けてきた。これが当社のDNAだ。

 2020年に向かう5年間は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた需要や、昨年1300万人を超えた訪日旅行など、ビジネスチャンスが大きく変化拡大していく重要な年になる。様々な動きや情報の中で、どれだけ柔軟に積極的にスピード対応できるかがいつの時代にも問われている。皆さんには変化をチャンスと受け止め、道無き道を積極的に切り開き、後世に残るような大きな仕事にもチャレンジしていただきたい。ぜひこの会社で、未来の「はじめて」を一緒に創っていこう。

 当社では2014年10月に「未来創造室」を設置し、「スマートツーリズム事業」「農業ビジネス事業」などさまざまな新規事業を開発。「救急救命」を受講する取り組みも全社員が受講を終了し、東京消防庁から感謝状をいただいた。一方、eワーク推進プロジェクトでは、モバイルPCへ発展的に移行。活動のフィールドが社外に多い当社において、営業にかかる事務負担を軽減させ、営業のタイムラインに沿った一気通貫の仕組みの構築を進め、働き方を変えていく。

 皆さんにとって、今後上手くいかないこと、悔しく、辛いことも少なからずあると思う。地道な努力が実らないこともある。しかし、それらは社会人として組織で働く人誰もが直面する壁なのだ。苦難も前向きに捉えることで乗り切って欲しい。今まで想像したこともないような貴重な経験、自分自身を成長させてくれる出会いや感動体験が沢山待っている。特に入社してから最初の2年間には数多くの出会いがあり、将来必ず皆さんの大きな財産になる。一つひとつの出会いを大切にしていただきたい。

 商品をお客様に買っていただくにはお客様の心を動かさなければならない。競合で同じような内容、同じ金額の商品の中で決め手になるのは自分を買っていただけるかどうか。ぜひ色々なことに好奇心や興味を持ち、多くのことを吸収し、人として魅力的な自分になってほしい。ビッグチャレンジを恐れずにたくましく成長して、会社の将来中核を担いうる仕事に邁進していただきたいと思う。


JTB首都圏:208名入社(グループ入社人数:730名)
代表取締役社長 生田亨氏

 皆さんを迎えて取り組むのは、3ヶ年の事業運営計画「躍進2015」の完遂の年だ。質の向上の完成がお客様支持率No.1企業となり、計画の目標である「名実ともにリテールのリーディングカンパニー」へと導く。さらに、お客様からの評価やブランド力でも日本一の旅行会社にしよう。私のこだわりは、社員やお店と近い距離で一緒に戦っていくこと。共に頑張っていこう。

 皆さんには3つのメッセージがある。「お客様に感謝しよう!」は店頭営業の原点でもある感謝の気持ちを御礼の言葉や笑顔で表現することを常に心がけること。お客様だけにではなく、新入社員として先輩や仲間にも同様のことだ。

 「自分を成長させよう!」は成長のためには、まずは自ら勉強をすること。プロとしての知識が高まることがJTB首都圏の会社の力になる。「商品を学ぼう!」は機械に負けない生きた情報を学び、コンサルティング力を高めること。自社の商品だけでなく、他社を学んで比較して初めてお客様にとって有益な情報となる。

 以上の3つは配属個所・店で先輩に教わりながら学ぶがすぐにできることではない。明日から最初にできることは「元気な挨拶、笑顔で挨拶」!明るく元気に頑張ろう。

 JTBグループブランドスローガンは「感動のそばに、いつも。」。皆さんも感謝の気持ちを忘れずに業務に邁進してほしい。学生時代の経験を活かし、皆さんの持っている「人財力」を最大限に磨き、発揮し立派なJTB社員になってほしい。

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