KNT個人、新たな造成販売体制で期中対応強化-提案型商品の注力継続

  • 2015年2月22日

神谷氏(左)と守本氏 2014年10月に近畿日本ツーリスト個人旅行販売を吸収合併し、商品造成と販売の機能を一体化した近畿日本ツーリスト個人旅行は、今年から従来は年2回開催していた商品発表会をおこなわないこととした。このほど本誌の取材に応えた同社営業推進部長の須藤文彦氏は、「今は商品のテーマが続々と出てくる時代でライフサイクルも短い。年2回発行のパンフレットだけで売る時代ではない」とその背景を説明した。

 今後は、基本的には夏期と冬期の需要を2本柱と捉えつつ、その間に造成する商品も重視していく考えで、造成担当者と販売担当者が活発に意見交換をしながら、市場の動きに対応して随時商品を発表する。例えば、昨年6月に富岡製糸場の世界遺産登録が決定した際には、既に秋期の基幹パンフレットが完成していたため、新たな特集商品のフライヤーを作成したが、このような時節に応じたテーマの商品化が現在の取り組みの主軸になっているという。

 首都圏営業本部部長(海外担当)兼首都圏第1海外企画センター支店長の神谷新平氏は、「海外旅行商品に関しては、為替レートや燃油価格の変動による先々のリスクを回避することにもつながる」と説明し、利用者には変動を適正に反映した価格で商品を提供しやすくなるとした。商品数については、2014年は前年比で1割以上減らしたものの、今年は2013年の水準に近づける考え。

 海外旅行については、2014年は高付加価値型商品に絞ったものの不調に終わったこともあり、今年は比較的リーズナブルな価格帯の商品も含めた展開をはかる。ただし神谷氏によれば「過去のような料金合戦に戻る考えはない」とのことで、軸足は高付加価値型商品に置いて勝負する考え。2015年の目標は販売額ベース、人員ベースともに前年比25%増をめざすという。

 高付加価値型商品については、これまでよりもターゲットとする年齢層を引き上げ、クラブツーリズムのターゲット層よりは少し若い、50歳から60歳までをメインとする。なかでもビジネスクラス利用商品などに注力し、シリーズ展開をはかりたいという。また、引き続き「提案型」のツアー商品にも注力。昨年に開始して好評だった「はじめての台湾」などの初心者向け商品を強化して、ブランド化したいという。

 なお、方面についてはヨーロッパを強化する予定。特に添乗員なしで2名催行の個人旅行に注力し、単なる「航空券+宿泊」型の個人旅行ではなく、現地の日本語係員がつく「観光つき周遊型個人旅行」のラインナップを拡充する。一方で、ハワイやミクロネシアなどのリゾートについては、家族連れや学生、女性グループなどさまざまな利用者層を照準に入れ、高付加価値型以外の商品にも注力する。

「メイトセレクト」のパンフレット表紙 国内旅行商品については、1月から販売を開始している提案型商品「メイトセレクト」を当面の目玉商品としてアピールする。同シリーズは添乗員が同行しないツーアップの個人向けセット型商品で、やはり50歳から60歳ぐらいの年齢層がメインターゲット。これまでの主力となっていた、多くの選択肢の中から移動手段や宿泊施設などを選べる「素材型」商品とは大きく異なり、同社が行程や内容を固定することでおすすめしたいテーマを明確化し、利用者が選びやすいようにした。

 「メイトセレクト」は行程や内容を固定したことで、結果的には販売の際の労力や時間の削減も可能にした。首都圏営業本部部長(国内担当)兼首都圏第3国内企画センター支店長の守本英雄氏によれば、造成段階では販売サイドと意見交換を何度も重ねており、その結果、提携販売店からも「従来にはないタイプの差別化商品として販売しやすい」との声が聞かれるという。また、訪日外国人旅行者向けや、ネット販売にも対応しやすいため、今後はさらなる強化をはかる考えだ。

 2014年の同社の国内旅行販売額は前年比10%減となる見込みで、2015年は前年比8%増をめざす。エリア別では、新たに新幹線が開業する北陸で50%増、北海道は4月から9月の期間で7%増を目標に掲げている。