タイ、観光に支障「ほぼない」-14年日本人は155万人目標

  • 2014年2月17日

TAT総裁のタワチャイ・アルンイク氏  昨年12月にタイ国政府観光庁(TAT)総裁に就任したタワチャイ・アルンイク氏が「第48回ジャパンゴルフフェア2014」出展に合わせて来日し、2月14日に記者懇談会を開催した。アルンイク氏は反政府デモについて「そこまで激しいものではなく、平和的なもの。観光地に影響はほとんどない」と説明。デモ隊のステージが設定されているバンコクの郊外や中心の一部地域については避けるべきだが、その他の地域は問題ないとした。

 同氏によると、今回の反政府デモはタイの中間層以上のエリート層が中心となっており、今までのデモのような武力行使や空港閉鎖などの事態は発生していない。デモの一部地域はカーニバルのような状態で、デモ発生以来観光客に被害は加えられていないとし、「状況がよくわかるリピーターの方々はタイへ旅行していただいている」と語った。

 2014年1月のタイへの日本人渡航者数は前年比17%減。また、観光消費額でも、全世界からの旅行者計では441億4700万円減、日本単体でも約15億7700万円減となった。しかし、こうした中でもアルンイク氏は日本人観光客について、リピーターの動きなどを踏まえて「すぐ戻ると確信している」と期待。2013年の日本人旅行者数は152万人だったが、14年の目標は前年比2%増の155万人をめざす考えだ。

 また、消費額についても、日本人は食やエステ、買い物などでアジアの他市場と比較しても多いとし、日本市場の重要性を改めて強調。旅行者数はアジアで第4番目に順位を落としているが、引き続き中心的な存在であると語った。

TATは第48回ジャパンゴルフフェア2014に出展。タイでのゴルフをアピールした  日本人旅行者数の回復に向け、今後はバンコク以外のチェンマイやプーケットなどへの誘客を強化する考え。デモの影響でバンコクへの旅行者は減少したが、チェンマイやプーケットなどの都市は増加傾向にあるという。アクセス面でも、バンコクをハブにしたネットワークだけでなく、海外から直接タイの各都市を結ぶ路線も増えてきたと指摘。バンコク以外の都市へのアクセス利便性の向上をアピールした。

 このほか、アルンイク氏はファーストタイマーへの注力にも言及。ファーストタイマーは旅費を節約する傾向にあるリピーター層よりもタイでの消費額が高いとし、バンコク以外の都市のアピールにより、需要の取り込みをはかっていく考えを示した。

 今後は日本人渡航者数の回復に向け、日本を含むアジア市場で合計約3億5000万円を費やしてキャンペーンを展開していく予定。メディア向けに大規模なファムトリップの実施も検討中だ。さらに、旅行業界向けには最新の情報を英語で送付しており、今後も継続していく。TATの本国サイトも情報がより見やすく分かりやすくなるよう、刷新を計画しているという。