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標準約款は継続、取消料規定や旅程保証の見直しを

  • 2014年2月6日

 観光庁は2月5日、第6回旅行産業研究会を開催した。今回のテーマは標準旅行業約款制度と、今までの議論の総括について。観光庁観光産業課長の石原大氏によると、約款制度については制度のあり方自体の議論を実施。委員からは標準約款制度は消費者にとって分かりやすい1つのルールとして示され定着していることや、消費者保護に大きな役割を果たしており効果が高いことから、約款制度は残すべきという話し合いがなされたという。

 その一方で、約款制定当時と比べ旅行業界の環境は変化しており、変化に合わせた見直しの必要性を指摘する声があがった。石原氏は見直すべき点として、取消料規定と旅程保証制度があがったと説明。PEX運賃の導入や、海外ホテル予約時の取消料規定が多様化したことなどを理由としてあげた。

 例えば海外ホテルの場合、予約の際に保証金が必要なホテルは増加している。また、代替手配が必要になった際などにホテルをアップグレードしても、当初予定と異なることから一定の金額を支払う事態も発生している。石原氏によると、こうした現状に制度がそぐわなくなっていることから制度の変更を求める声があがったという。なお、特別補償については「旅行者、旅行会社双方にとってうまくいっている仕組み」であると評価する意見があり、今後も継続していくべきとの意見が出された。

 このほか、委員からは約款制定後、旅行会社側が部屋数が十分でない宿泊施設や秘境の地など、旅程保証が難しい場合は旅行商品の造成が困難であることから、商品化されないケースがについて言及があった。こうした事態が旅行商品の種類の減少につながり、その結果、海外旅行者数の減少の一因となるのではとの指摘もあがった。

 また、研究会では第2回研究会の議題となった、素材単品販売に関わる旅行業区分の見直しについて議論がなされた。第2回では日本の旅行会社とオンライントラベルエージェント(OTA)との競争が高まる中、日本の旅行会社が手配旅行の制約から自由に値付けできないという課題を議論。手配旅行でも自由に値付けができるようにすべきとの考えや、宿泊や航空券などの素材単品の販売は業法の範疇外とする案、現在の募集型企画旅行の範疇に手配旅行を入れる案などが意見として出されていた。

 今回は、素材の単品販売を業法の範疇からはずすという案について、「素材単品」の範囲が曖昧であり、宿泊や航空券など単品を組み合わせた場合は当てはまるのかなど線引が難しく、「旅行商品の造成販売も業法から外すことにつながりかねない」といった指摘があがったという。

 また、消費者側からは、業法の範疇外とすることで旅行会社以外の会社が販売できるようにあるとし、信用力のある資格を持った旅行会社が取り扱う方が安心との意見も出された。さらに、自由な値付けを可能にすれば旅行会社に有利に働くことから、消費者保護の観点も踏まえ、旅行会社側から特別補償や旅程保証のような消費者へのリターンを考えるべきではとの意見も出された。

 このほか、会議では安全マネジメントについても言及。日本旅行業協会(JATA)が昨年末に定めたガイドラインを活用し、全国旅行業協会(ANTA)など業界が主体的に周知徹底をはかっていくことで合意したという。

 次回は第7回会合を2月末に開催し、研究会として取りまとめるたたき台を提示して話し合いをおこなっていく。3月中旬までに第8回会合を開催し再度取りまとめに向け議論し、3月中にも報告書をまとめる予定だ。