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タイのデモ、旅行需要への影響「現状ほぼなし」、長期化は懸念

  • 2013年12月3日

 タイで反政府デモが発生してから1週間以上が経過し、日本国内でも「騒乱」「対立」「緊張」といった表現での報道が増してきており、好調な東南アジア方面の需要減退が心配されるが、12月3日時点では旅行への影響は極めて少ないようだ。

 今回、トラベルビジョンではジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)、阪急交通社、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行の旅行会社5社と、日本航空(JL)、全日空(NH)、タイ国際航空(TG)の航空会社3社に聞き取りを実施したが、各社とも現時点ではキャンセルや予約の鈍化などの影響は特にないと回答した。

 例えばHISでは、キャンセルは「ゼロではないが数件」で、「ないに等しい」状況。また、KNTでも「少しはあるが、想定していたよりも断然少ない」といい、観光への支障もほとんどないことから旅行会社5社ともにツアーは通常通り催行している。

 航空会社側でも、「今のところ特段目立った動きはない」(JL)、「大きな影響は出ていない」(NH)、「影響は多少はあると思うが、平常と大きく変わっているわけではない」(TG)との回答。HISのチャーター専門航空会社であるアジア・アトランティック・エアラインズ(HB/AAA)を含めて、運航は平常通り続けられているという。

 こうしたことから、旅行会社、航空会社ともにツアーや航空券の取消料、変更手数料の免除といった対応は今のところ実施していない。ツアーについては、現地支店などと連携して正確な情報を出発予定の顧客に説明するとした旅行会社が多く、デモが起きている地域付近に立ち寄るオプショナルツアーについては、内容を一部変更して対応しているという会社もあった。

 一方で、各社とも懸念するのはデモの長期化と状況の悪化。事態の推移を見守るしかないが、外務省の渡航情報が引き上げられるような段階になれば需要への影響が顕在化する可能性が高い。

 外務省では、現在のところ11月26日付けで注意喚起のスポット情報を発出したところで止まっており、以降は在タイ日本国大使館が連日「お知らせ」として情報を発信しているところ。外務省領事局海外邦人安全課によると、この「お知らせ」をデモが続く限り継続することになるが、事態が中長期化すれば渡航情報の見直しもあり得るという。