中部、新ターミナル延期、仕様の見直しも

  • 2013年10月3日

 中部国際空港は10月3日、2014年後半の供用開始を予定していた新ターミナルの計画を延期すると発表した。同日開催した記者会見で、中部国際空港代表取締役副社長の伊藤鎭樹氏は「本格的な整備に入る前に、航空会社をめぐる動向が変わってきた」ことから延期を決定したと説明。今後は空港の規模や仕様、コンセプトを見直し「きちんと状況を見極めながら進めていきたい」考えを示した。

 中部は今年3月に南側地区整備事業計画として、新ターミナルの建設とエプロンや駐車場の整備、増設を発表。ターミナルビルと駐車場や道路は2014年後半に、それ以外の施設は14年後半から15年後半までに段階的に整備する計画だった。

 新ターミナルについては、LCCの就航が盛んになる中、国際、国内線の一体運用や歩行搭乗のニーズの増加、エアバスA320型機などの利用増を見込んだ小型機対応の強化をはかるとしていた。

 しかし、伊藤氏は、当初見込んでいた小型機の夜間駐機の需要が少しペースダウンしていること、訪日ビザ緩和により、A320型機での就航範囲外にあたる東南アジアからの需要増が見込めることなど、3月時に比べ航空環境が変化している点を強調。当初就航を予定していたエアアジア・ジャパン(JW)がバニラ・エアとして再出発し中部から撤退することもあり、計画を見直すとした。

 今後の予定は未定だが、伊藤氏は「南側地区の整備は中部の成長にとって重要な地域」とし、「できるだけ早く見極めて対応したい」と語った。


▽エプロン整備は実施、15年3月から旅客便用スポット増加

 ターミナル建設が見送られた一方で、事業計画で予定していたエプロンの整備は、整備工程を変更して実施する。中部空港によると、現在給油設備がない3スポットに給油施設を設け、貨物用スポットを移設。現在の貨物用の3スポットを「今後の旅客便の新規需要に充当する」とした。

 これにより、大型機2機、中型機1機の受け入れが新たに可能になる予定だ。供用開始時期は2015年3月の予定だ。このほか、今後のエプロン整備、増設をスムーズにおこなうための前段階として、給油配管の設置や誘導路付近の整備を実施する。伊藤氏は「いつでも(延期した計画について)タイミングをはずすことなく対応できるよう」しており、今回の整備はその表れと述べた。