itt TOKYO2024
itt TOKYO2024

活気づく海旅市場、LCCで結果FIT増、新たな動きも-エイビーロード調査

  • 2012年7月17日

 エイビーロード・リサーチセンターは7月12日、「エイビーロード海外旅行セミナー2012」を開催し、2011年の海外旅行動向を発表した。2011年に海外旅行をした人を対象に実施した「エイビーロード海外旅行調査2012」の結果を分析したもの。2011年は海外旅行者数が前年比2.1%増の1699万人となり、人数では懸念された東日本大震災の影響は少なかったが、新しい変化も生まれた。発表したセンター長の稲垣昌宏氏は「旅行スタイル転機の年」とも述べる。変化の兆しを中心に、2011年の市場動向をまとめた。


若者層、初心者に動き-市場活性化
旅行日数増加、レジャー順調、震災の影響相殺

 エイビーロードの海外旅行調査は、前年度に実際に観光目的の旅行をした人を対象としているのが特徴だ。そのため、回答者プロフィールからもその年のレジャー市場の旅行動向をうかがい知ることができる。

 レジャーの海外旅行市場は性別では女性、年齢層ではシニア層が主要客層だ。2011年もそれに変化はないが、性別では男性が49.7%(昨年48.9%)に、年齢では20代以下が19.7%(昨年19.0%)と広がった。さらに、これまでの旅行回数1回(初めて)が4.9%(昨年4.5%)とわずかに増えている。

 性・年別に旅行回数1回の人のシェアを見ると、男性18歳から29歳未満が18.2%(昨年17.0%)、女性18歳から29歳未満は12.7%(昨年9.7%)に拡大。稲垣氏は「旅行回数は年々増加傾向にあったが、昨年は『1回』の人が久々に増えた」と述べ、「若者層元気が昨年のポイント。それ以外の年代も増えており、海市場が活性化した」と、動きの鈍かった層が動き出し、市場が勢いづいた状態であることを説明する。


 もうひとつ、稲垣氏が「意外」と述べたのが旅行日数だ。「4日間」の割合が最も高いのは変わらないが、平均旅行日数は0.1日増加し、7.3日となった。ただし、居住地別では関東が7.6日(昨年7.2日)と増加した以外は、関西は7.0日(昨年7.3日)、東海は6.2日(昨年7.0日)と減っており、「関東は羽田発旅行が増加している。羽田の深夜発早朝着が日数増加に影響したとも考えられる」との見方も説明した。

 このほか、本調査前のスクリーニング調査で、レジャー渡航が78.2%(昨年77.2%)と増加。ビジネスは11.1%(11.4%)の微減となったが、稲垣氏は「市場全体が増えたので、レジャーが順調に増加、ビジネスはとんとんの推移」と解説する。また、旅行先では「東南アジアが牽引し」(稲垣氏)、中距離が35.8%(昨年34.0%)と伸び、近距離、長距離は減少。ただし、居住地別で見ると、遠距離は関西、東海では前年を上回り、近距離は東海のみ減少した。東海地区については昨年、震災の影響でトヨタが木・金休みと休日カレンダーを変更したことから、例年と別の動きがあった可能性があると指摘する。

次ページは、旅行費用とツアー利用率、羽田利用状況>>

注:各ページの表の出典は「エイビーロード海外旅行調査2012」「エイビーロード海外旅行調査2011」