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トップインタビュー:ジェットスター(前)、国内線就航に向けた戦略

 7月3日、国内線に初就航するジェットスター・ジャパン(GK)。すでに運航を開始しているピーチ・アビエーション(MM)などとともに注目を集めているが、同じ「LCC」でも旅行会社との関係などビジネスモデルは各社で異なる様子。すでに、ジェットスター航空(JQ)グループ全体で営業と販売をコーディネートし、組織間の人的交流も含めて取り組む方針を示しているが、GKはどのように市場を分析し、どのような成長の青写真を描くのか。JQの日本支社長としてGKに出向し、就航準備を進める片岡優氏が語る戦略を、2回に分けて伝える。(聞き手:弊誌編集長 松本裕一、4月下旬に実施)


-組織面での準備状況をお聞かせください

片岡優氏(以下、敬称略) 4月付けでJQ日本支社の組織変更をおこなった。JQ東京支店長であった中田茂が商品開発兼パートナー・ホリデーズ事業部長に就任した。この部署は新設したもので、アンシラリーレベニュー(※機内食や毛布など追加的サービスの販売による収益)を管理する。また、マーケティングでは、これまではすべてメルボルンで管理していたが、JQ日本支社の中にマーケティング部を新設し、日本で活動できるようになった。

 ジェットスター・ジャパン(GK)が販売を始めるにあたって、営業とマーケティング、アンシラリーレベニューの3部門の強化が必要だと認識しており、JQグループとして日本支社の組織を大きくし、人数も増やしている。販売方法としてはこれまで通り、JQ、ジェットスター・アジア航空(3K)、GKなどグループすべての便の販売に責任を持っていく。

 このほか、外注だが、これまでメルボルンで対応していた日本語コールセンターも国内に開設した。GKの就航にあたって、サービスレベルを上げるねらいだ。メルボルンは35名だったが、札幌に110名規模のものを開設し、福岡にもバックアップとして40名のコールセンターを設けている。福岡はコールセンター機能に加え、お客様相談室、いわゆる苦情対応窓口を開設する予定だ。ここでJQ、3K、GKすべての問い合わせや苦情に対応する。


-プライスビートギャランティー(最低価格保証)はどのように実現するのでしょうか

片岡 申請済みの国内航空運賃をベースに、国土交通省と最低価格保証のスキームを話し合った。国土交通省の見解としては、運賃であれば毎回申請を上げなければならないため、運賃ではなく、独自のバウチャーを使って運賃の差額を補填するというやり方であれば航空法に抵触しないのではないかという助言を得た。

 この助言に基づき、最低価格保証のスキームを作り上げた。具体的には、GKが1万2000円で売っていた時に、他社が1万円の運賃を出していたとすると、最低価格保証として他社よりも10%安い9000円で提供する必要がある。この際、お客様にはひとまずGKの1万2000円の航空券を予約していただき、差額の3000円分のバウチャーを発行する。バウチャーはその航空券の支払い時に使うことができるほか、その次の旅行でも利用可能だ。

 お客様には、GKよりも安い他社の運賃を見つけられた際に、プライスビートギャランティーデスクに電話をしていただく。担当者が、フライトの日時のほか、受託手荷物の有無など運賃条件などが同じであると確認できれば、最低価格保証を適用する。そこで初めて予約を作成するため、購入してからより安い運賃に気付いても対象にはならない。

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