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ホールセール特集(2):各社販売戦略、パンフレットに力点

  • 2012年2月29日

 2012年度上期商品の特徴の1つとしてパンフレットの刷新があげられる。販売戦略に合わせ、パンフレットをより見やすく、より分かりやすく変更したホールセラーは多く、内容重視の姿勢をさらに鮮明に打ち出すものが目立つのも特徴だ。旅行業界が転換期を迎えているなか、商品の「顔」ともいうべきパンフレットには各社の販売戦略が含まれている。ホールセラー4社の取り組みから、業界環境が変わりゆくなかでの各社の販売戦略や、販売店との協力体制について探った。

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販売力アップ、企画意図伝わる紙面に

ハローツアーのパンフレット。食事の情報を写真付きで掲載  上期のパンフレットで見られる、大きな改善点のひとつが文字の大きさ。以前よりも文字サイズを大きくし、より見やすく、より読みやすいパンフレットを追求したホールセラーが多い。ANAハローツアーでは文字サイズを7ポイント以上に統一するなど可読性を向上させた。また、日程表に食事情報を掲載することで、旅の楽しみをさらにアピール。ANAセールス広報によると、「あくまでもお客様目線に立った、見やすさ、分かりやすさを追求した」という。

 また、ルックJTBでは文字サイズを大きくし、行間を広げるとともに、日程表や説明には読みやすいユニバーサルデザインのフォントを使用。コース紹介ページでは情報の配列を全方面で統一し、比較しやすい紙面に改善するとともに、旅行代金をこれまでの色別カレンダーから出発日別に金額を表記する方式に変更した。

 JTBワールドバケーションズ(JTBWV)商品戦略部マーケティング・広報・パンフレット戦略部長の太田真規男氏は「これまではコストの面からも情報をより多く載せる傾向にあった。しかし、お客様へのヒヤリングの結果、意図した企画がうまく伝わっていなかった」と話す。その反省も踏まえ、パンフレットを顧客に企画内容や条件を伝えるための最も重要なツールととらえ、よりお客様目線でのパンフレット作りにこだわった。

また、JTBWV商品戦略部長の遠藤修一氏は「担当者にとって紙面に余白を作ることは勇気のいることだったが、今回はあえて見やすさを追求するために余白も増やした」と見やすさに対する工夫も紹介。「重要なのはルックJTBの(商品)価値を上げていくこと」とパンフレット革新の意図を語る。

ホリデイの夫婦限定商品「ゆとりっぷ」は8名催行で、最大22名までの限定商品  「大商品改革」を実施した近畿日本ツーリスト(KNT)ホリデイではパンフレットも刷新。文字もユニバーサルサイズ以上の大きさに変え、とくにシニア向け商品「ゆとりっぷ」ではさらに見やすさに工夫をこらした。KNT執行役員・海外旅行商品事業本部本部長の田口久喜氏は「パンフレットを手元に、カウンターの人の言葉を通じて販売をするのが戦略。まずはお客様に方面や商品の説明を聞いてもらい、そのうえで値段の話にもっていきたい」と話す。商品も内容についての会話が生まれるようにラインアップ。パンフレットを活用した店頭でのコンサルティング強化をはかり、店頭に来る価値を消費者にアピールする考えだ。

 一方、阪神航空フレンドツアーでは、文字サイズなどデザイン上の変更はない。「シニアのお客様が圧倒的なので、以前から見やすさは重視していた」と阪急交通社営業本部・東京フレンドツアーセンター所長の川上伸作氏は自信を示す。上期商品で大きく変わった点と言えば、『南米』以外の東京発商品全コースで燃油サーチャージ込みとしたことだ。パンフレットの表紙にも大きくうたい、アピールしている。