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HIS澤田会長、世界市場で競争力向上へ、HTBとオンライン強化

  • 2011年10月26日

 エイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役会長、ハウステンボス(HTB)代表取締役社長を務める澤田秀雄氏は、旅行業界の勉強会「十人会」の例会で、「地球の歩き方」創業者の西川敏晴氏と「旅行業の現状と未来」をテーマにトークショーをおこなった。日本版LCC誕生やオンライン取引の拡大などめぐるましく環境が変化し続けている現状を、澤田氏はどのように捉え、どのように舵を取るのか。当日の様子から伝える。


旅行業インターネット時代到来、旅行会社システムで勝負が決まる

 2011年はピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパンと、日本の航空業界にもLCC(ローコストキャリア)が誕生し、日本は「LCC元年」のような様相を呈している。が、羽田空港の国内線発着枠の拡大で、1996年10月に、澤田氏がスカイマークエアラインズを設立した時が、日本のLCCの始まりであり、当時の厳しい規制の時代にあって、日本のLCCの「元祖」とも言える。LCCへの思い入れは強く、目下、LCCと旅行会社の関係構築についてはさまざまな試みを行いつつ、新たなビジネスモデルを模索している。

 澤田氏はLCCが本格的に参入する日本の旅行市場について、「間違いなく、これから本当のインターネットの時代が到来する。店舗の売り上げが伸び悩む中で、インターネットが大幅に伸びており、これがポイントでチャンスだと思う。インターネットの時代はシステムが命であり、HISもこれからは全体の従業員のうちかなりの部分がシステムに関わる人間が増え続けることになるだろう」と述べ、IT関連の投資が旅行業の生命線であることを強調した。また、旅行会社のライバルは、国内の市場でシェアを奪い合う時代は終わり、グローバルな市場でものを考えていく重要性を語った。

HTB、長崎/上海間のクルーズ事業の運航スケジュール決定
「ローコスト・エンタテイメント・シップ」宣言

 澤田氏はハウステンボスについて、「3月の東日本大震災直後は、訪日外国人旅行者がゼロになり、一時は閑散とした。しかし、5月にはバラの花100万本を植えて、見渡す限りバラの花で埋め尽くすイベントを実施。その後は、経営努力により修学旅行を2倍以上に増やした」と語った。震災の影響による訪日外国人の落ち込みを修学旅行と国内旅行でリカバリーする戦術が実を結んだ。

 中断しているクルーズ事業については、11月に試験運航を実施、来年1月から定期運航を上海/長崎間で開始すると発表した上で、「これからは格安料金だけでなく、エンターテイメントなどサービスを充実させてビジネスを展開することが重要である。LCES(ローコスト・エンタテイメント・シップというコンセプトを浸透させる」と宣言した。