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会津若松、訪日復活に向け地域一丸、観光庁の拠点化で-国内は修旅回復へ

  • 2011年6月28日
(左から)観光庁長官の溝畑宏氏、会津若松市長の菅家一郎氏

 観光庁は訪日外国人旅行者の受入環境整備の地方拠点として、東日本大震災の影響で選定を見合わせていた東北地方において、会津若松、仙台・松島、平泉の3地域を選定した。6月26日、福島復興支援イベント「Project JAPAN in FUKUSHIMA~始まりのAIZU~」に合わせて開かれた記者会見で、観光庁長官の溝畑宏氏は会津若松を十分に世界への観光拠点となるポテンシャルがあると評価。今回の選定で「日本の観光、東北の観光復興に弾みがつくのでは」と期待を示した。

 選定を受け、会津若松市長の菅家一郎氏は「国際観光の誘客、回復をするとともに、会津の観光復興、ひいては被災地への復興へと繋げるため、地域一丸となって邁進していきたい」と力強く語った。同氏によると、会津若松市は1986年に運輸省から国際観光モデル地区に指定されており、外国人観光客誘致のため、多言語プロモーションDVDやパンフレット、案内板の作成など、取り組みを続けてきたという。

 また、会津若松市ではYouTubeを活用して会津の安全性をアピールする動画を作成し、国内外に発信するなど、風評被害の払しょくに積極的に取り組んでいる。菅家氏は、会津若松が原子力発電所から100キロ離れており、放射線の測定値の結果、健康への影響を心配する必要はないと安全性を強調。「原子力発電所のある福島県でも会津若松は大丈夫、と国際的に安全性をアピールすることで、日本の安全もアピールできる」とし、「そうした役割を果たすことで日本全体の観光に貢献していきたい」と意欲を示した。

 今後は引き続き、安全性を訴えるとともに、観光情報の発信、受入体制の整備に注力していく考え。具体的には、飲食店に外国語メニューを設置するといった多言語表示の強化や、外国人向け観光モデルプランの策定などを実施し、受入体制をさらに整備していく計画だ。2009年に商標登録した「SAMURAI CITY」のブランドも活用し、鶴ヶ城や白虎隊など歴史の魅力も訴求していく。


▽国内旅行は修学旅行が9割減-誘致めざし取り組み強化

 一方、国内旅行については、菅家氏は「団体が厳しい状況」だとした。同氏によると、震災や福島第一原子力発電所事故による風評被害により団体旅行の中止が相次ぎ、修学旅行は8割から9割がキャンセルになったという。こうした流れの中、溝畑氏は会津若松観光物産協会とともに千葉県の中学校長会に参加し、会津若松の魅力をアピール。菅家氏も全国市長会理事・評議会合同会議に出席し、福島への修学旅行再開を訴えており、今後ともこうした取り組みを継続することで、誘致をはかる考えだ。

同日開催された復興支援イベントでは、溝畑氏、菅家氏、福島県知事の佐藤雄平氏が福島の観光復興を宣言したほか、アントニオ猪木が激励のメッセージを発した

 また、溝畑氏は旅行会社に対し「まずは自ら実際に足を運び、自分の目で状況を確認してほしい」と呼びかけた。同氏は同日福島で開催された福島復興支援イベントへの協力をはじめ、観光庁として観光再生への支援を継続することをアピール。旅行会社に対しても「福島で今までビジネスをしてきたのであれば、苦しい時こそ力を貸し、ぜひ恩返しをしてほしい」と積極的な支援を訴えた。