インタビュー:リベロヴィアッジ代表取締役社長の矢追剛氏

  • 2011年5月10日(火)
強みを生かして業務渡航とレジャー旅行を両立

 業務渡航において、大阪を中心とした関西圏は、東京を中心とした首都圏と比較して市場が小さく、厳しい状況下にある。関西圏の旅行会社が抱く危機感は大きいが、その分、対策も早いようだ。「5年、10年先を見越すと、業務渡航専業でいくのは厳しい」と語るのは、リベロヴィアッジ代表取締役社長の矢追剛氏。これまで培ってきたヨーロッパ方面への手配経験の強みを生かし、ヨーロッパへのレジャー旅行を取り扱うポータルサイトを立ち上げ、受託販売を開始した。関西市場の特徴をふまえて、業務渡航とレジャー旅行をどう展開していくか。営業戦略を聞いた。

※インタビューは東日本大震災発生前の2011年2月下旬に実施しました。


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−御社の業務内容と創業からの流れをお聞かせください

矢追剛氏(以下、敬称略) リベロヴィアッジは、2000年7月に第3種旅行業として開業した。業務内容は、業務渡航の手配全般。関西圏では、電気業界と繊維業界が主な産業となるが、その中で繊維会社をメインの顧客として、創業から約3年は欧米への手配のみを専業としてきた。その後は、中国を中心としたアジアとヨーロッパを中心に手配している。現在は、アジアとヨーロッパの売り上げ比率は5:5。送客数は7:3くらいだ。顧客は創業当時からの繊維会社に加えて、建設業や病院、製薬会社などに広がっている。

 一方で、2009年7月から「eスカイジャパン」というブランド名で、オンライン販売によるヨーロッパへのFITパッケージの受託販売を始めた。


−業務渡航専業の御社が、レジャー旅行の販売を始めたのはなぜでしょうか

矢追 業務渡航では、航空券のコミッション・カットが最大のネックだ。現在は販促費でしのいでいるが、5年、10年先にはカットされる可能性も否めない。その危機感から新しい取り組みを始めた。

 また、旅行会社としては、2つ以上のパーツ以上を手配してこそ、という思いもある。これまでヨーロッパへの業務渡航を手配してきた経験に加え、私自身も50回から60回以上の添乗を経験するなど、ヨーロッパの都市部については他社よりノウハウ、知識とも優れていると自負しているので、ヨーロッパ専門とした。

 大手では、企画と販売をそれぞれ別の人間が担当するが、当社の場合は、現地体験や添乗経験のある人間が、生の情報を蓄積している。これをアドバンテージとして、年内には第1種旅行業への登録と自社での企画実施をめざしたい。


−オンライン販売は、どうしても価格が安い商品が選ばれる傾向があります。御社の強みを、ウェブ上でどうアピールするのでしょうか

矢追 確かにウェブ上でのアピールは難しいので、コンタクトがあってからの勝負になる。レスポンスの早さや内容の充実、電話やメールでのカスタマーケアなどに力を入れている。具体的には、宿泊施設に実際に足を運んで写真を撮り、スーパーマーケットの位置や地下鉄へのアクセスなども確認して、細やかさを心がけている。

 オンライン担当者によると、膨大な数の旅行商品が羅列する検索サイトの中で、利用者が比較・検討するのはトップから3ページ目くらいまでだ。その中で記憶に残るよう、ぱっと一目でわかりやすいシンプルなタイトルにしたり、他社が使わないフレーズで目を引くなど工夫している。

 また、人気方面のパッケージツアーは価格競争になっているので、経験を生かして、他社があまり目を向けないニッチなデスティネーションも展開していく。当面はヨーロッパに絞って強みを発揮していく予定だ。


−年内に第1種旅行業への登録を済ませたとして、今後、業務渡航とレジャー旅行を、どのように両立させていくのか。お考えをお聞かせください

矢追 3年以内にレジャー旅行の割合を50%に引き上げ、5年後には7:3まで伸ばしたい。様子を見ながら人員も増やす予定だ。人数を増やさなければアイデアも出ない。

 業務渡航については、顧客の中心である繊維会社は、現地に工場を持っている関係もあり、行かなければ仕事にならないケースが多い。そのため、売り上げは横ばいだが維持できている。しかし、業務渡航は手間に対して利益が少ない。変更手数料を例にとると、レジャー旅行なら一度の変更ごとに手数料が発生するが、業務渡航の場合は発券してはじめて課金できる。場合によっては5回も変更があり、6回目に取り消しとなることもある。そうなると1円も利益は生まれない。

 私は、将来的には日本ではフィー・ビジネスは難しいのではないかと考えている。大手の旅行会社でも、航空券の発券手数料は2000円くらいに下がったと聞いている。日本は、額面の中に手数料が入っているものと考える文化だ。現在は販売手数料をいただけているので、ビジネスは成り立っているが、15年、20年後には続かない可能性もあると見ている。


−業務渡航におけるここ数年間の状況について、ご見解をお聞かせください

矢追 ここ数年間では、やはり2008年のリーマンショックの影響が大きい。それ以前は、利幅もそれなりに確保できたし、渡航者の流れも活発だった。しかし2009年には、売り上げは約20%程度減少した。さらに、2010年から2011年にかけては、売り上げは30%弱も上がったが、利益は数%しか上がっていない。キャンペーンを展開するなど、営業努力で取扱数は増えたのに、利率は年間4%くらい下がっている。これが業務渡航の現実だ。

 利益が下がった最大の理由は、航空会社のコミッション・カット。さらに、渡航者のコスト意識も厳しくなってきている。ホテルのクラスを下げるのはもちろん、航空券の券種も利便性より価格を優先する。たとえば、早割チケットを2回までキャンセルしても直前に発券するより航空運賃が安いなど、利用者自身がシビアに計算している。これは、リーマンショック以前にはなかった傾向だ。


−業務渡航の動向において、関西圏と首都圏で大きく異なるのは、どのような点でしょうか

矢追 予約に関しては、首都圏は今取れるチケットの中で安い席を求められるが、関西圏では、残席が無くても発券のタイミングまで最安値の運賃をトライするように依頼される。また、関西圏はエコノミーマーケットでビジネスクラスが売れない。上場企業の執行役員でもエコノミークラスで出張している。

 ひとつの要因は、本社機能が東京にあり、関西は支店だからではないか。東京では本社経費で出張できるが、関西では支店の数字がついてくるから、エコノミーを利用することになる。私の実感では、従業員数50人から100人規模の中小企業のオーナーでも、ビジネスクラスを利用するのは、5人に1人くらいではないか。普通運賃でビジネスクラスが売れることは、まずない。それが関西圏の国際線の座席数減少の一因だ。


−旅行会社にとって葛藤は続くと思われます。そんな状況を、どう強みを生かして乗り切っていくのか、見解をお聞かせください

矢追 お客様の顔が見えており、感想を直接ヒアリングできるのが強みのひとつだ。自分なりに情報を集めてフィードバックしている。これはやり続けたいと考えている。

 また、Eチケットになっても出入国カードをつくってデリバリーしたり、外出中でもメールにレスポンスできる態勢を整えたり、希望の便や座席の指定をなるべく粘ってかなえるといった、従来のアナログなスタイルも継続していく。価格については、ある程度は他社との戦いになるが、自社のボーダーは定めていて、価格戦争に入るつもりはない。

 ただ、業務渡航に限らず、旅行業界ほど川下の販売店に対して厳しい業界はない。エアラインには理解と協力を求めたい。

−ありがとうございました

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