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日本旅行、中国発の訪日医療観光が好調、目標上方修正も

  • 2010年4月28日
  政府が「インバウンド医療観光に関する研究会」などで訪日医療観光に注力する姿勢を見せるなか、先行する日本旅行の取り扱い状況が好調だ。同社国際旅行事業部海外営業部アジア・オセアニア担当部長の青木志郎氏によると、現在は早期がんを検出するPET検診ツアーを中国の富裕層向けに販売。2010年は、すでに取扱人数が前年を上回るなど順調に伸びを見せている。

 日旅は2008年4月に、中国の旅行会社「優翔国旅(ラビオン)」と提携。ラビオンは、中国で初めて富裕層向けに医療観光ツアーを中心として販売しはじめた会社で、スイスへのアンチエイジングツアーなども催行実績がある。一方、日本の医療機関としては大阪の聖授会OCATクリニックと提携。ラビオンは、戦略として「ナンバーワンの医療」を受けられることを提携の条件としており、同クリニックはこの条件に合致したという。

 実際の旅行者の受け入れは2009年4月から開始。取扱人数は、2009年12月までは40名弱で、2010年は1月から5月ですでに46名。また、4月上旬にラビオンの顧客を対象に北京と上海で開催した旅行説明会には、合計110名が集まったという。青木氏は、「当初の目標は年間100名だが、上方修正したい」とし、150名の取り扱いをめざしたい考えを示した。今後はPET検診以外のツアーも開始して需要を開拓したいといい、その際に取り組む医療分野は「日本がずば抜けていて、医療機関側からもニーズがある分野」で、美容整形や自毛植毛なども候補という。

 また、対象市場の拡大もねらっており、日本旅行の訪日旅行事業全体で取り扱いの多い欧州や韓国などを検討。各市場での販売にあたっては、「(レジャーなどでの訪日旅行とは)まったく異なる体制でなければ成功しない」ことから、現地の旅行会社との連携を重視する。このほか、制度上の課題として、「医療観光ビザ」の創設も働きかけたいとした。

 なお、中国人参加者の属性としては「個人事業主、オーナー系」が多く、年齢は40代から50代が多い傾向にあるという。日程は、PET検診に必要な1泊2日をベースにオーダーメードで組み上げるが、4日間から5日間の人気が高い。また、平均旅行代金は約100万円だ。