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KNT、2期連続の最終赤字に−21年度は費用減少で黒字確保の見込み

  • 2009年2月25日
 近畿日本ツーリスト(KNT)の平成20年12月期決算(平成20年1月1日〜平成12月31日)は、営業収益が前年比9.4%減の735億4900万円で、営業損失が79.3%減の31億8600万円、経常損失が43.5%減の31億5700万円、当期純損失は37億3800万円と2期連続で赤字となった。当期は日本経済が弱含みで推移するなか、さらに後半は世界的に経済が低迷。景気悪化や燃油サーチャージの高騰による海外旅行の手控えにより、旅行業界は低調に推移した。

 こうしたなか、KNTでは諸施策を推進。海外旅行では団体旅行で「北京オリンピック」などのイベント関連旅行の取り扱いに努めたほか、個人旅行ではロタ島チャーター商品、スイスチャーター商品、韓国方面が好調に推移した。しかし、燃油サーチャージの高騰や中国方面の落ち込みなどで、売り上げは低調。費用面の削減を進め、退職手当金制度を廃止し、65億7400万円を退職一時金制度清算損として計上している。

 平成21年12月期予想は、2008年11月の中期経営計画での発表値から下方修正した。今年1月から3月の予約状況が当初予測より減少していることを受けて修正したもので、営業収益は0.2%減の734億円と減少見込みであるものの、営業利益は1億円、経常利益は7億円で、当期純利益は1億円の黒字確保を見込む。これについて、常務執行役員経理部長の遠藤昭夫氏は「特に費用抑制の影響」と説明。退職金制度の見直しにより13億円が改善されるほか、コミッションの支払額は売り上げ額の減少にともない減少するため、「10億円単位で違う」という。その他、費用面でも固定費用のより一層の圧縮と不採算部門の撤退の迅速化、業務効率化施策などの見直しをはかり、収入に見合う構造への転換をはかる。また、営業面でも今期から開始する中期経営計画にもとづき、個人旅行、団体旅行、訪日旅行、eコマースなど各分野で安定的な利益創出への構造改革を推進していく。その戦略の迅速化に向け、他社と連携やM&Aも積極的に推進する意向だ。


▽平成21年通期 単体の営業収益の業績見込み(項目:営業収益/前年比)

国内旅行:392億円/4.0%減
 団体旅行:136億4000万円/4.2%減
 企画旅行:210億9000万円/4.1%減
 個人旅行:44億7000万円/3.0%減

海外旅行:172億円/0.7%減
 団体旅行:58億9000万円/2.7減
 企画旅行:86億4000万円/2.0%減
 個人旅行:12億7000万円/0.1%減
 国際旅行:14億円/17.9%増

その他:17億円/16.7%減
合計:581億円/3.5%減


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