itt TOKYO2024

KNT、新中計は「事業規模1兆円への挑戦」の基盤−創立60周年の2015年見据え

  • 2008年11月13日
 近畿日本ツーリスト(KNT)は、創立60周年を迎える2015年にめざす姿を「KNTグループビジョン2015」として設定、11月11日に発表した2009年からの新中期経営計画では、これをめざすための基盤づくりを進める。KNTグループビジョン2015では、「旅を基盤として世界中に『豊かな時空間』を創造する企業グループ」として、「常に業界のパイオニアとなり、お客様や社会に新しい『!』を提供」、「グローバルな事業展開を進め、KNTブランドを世界に広める」ほか、「グループ事業規模1兆円への挑戦を開始」することをめざす。新中期計画の中でのグループの年間取扱高は、2009年に7100億円、2011年に7420億円を計画している。

 新中期計画では、2008年1月に実施した事業再編をベースに、中核事業の再構築による安定的な利益確保と成長市場での基盤構築を実施し、次期中期計画でのさらなる成長につなげるねらい。中核事業として位置付けるのは個人旅行と団体旅行で、メイトとホリデイを仕入・造成・販売のすべてにおいて改めて見直し、「構造改革」を果たす。また、成長市場はグローバル、MICE、eコマース、そして異業種他社との協業・提携・M&Aで開拓する新市場に設定。これらを実現するための手段として、KNTグループと近畿日本鉄道のグループ力の活用と新プラットフォーム戦略の推進、費用構造の改革、重点的な投資、首都圏マーケットへの資源シフトを挙げる。また、CSの推進や「人財」育成、CSRの推進なども進める。

 中核事業のうち、個人旅行事業では、ホールセール事業で商品力の強化と販売チャネルの拡充、店頭販売事業の販売拡大、提携販売事業での販売ネットワーク拡大を進める。商品力の強化については、先ごろの再編で仕入と企画を統合した結果、海外旅行部門ではスピードの向上が実現したほか、需要にあった仕入ができるため商品力も向上、価格面でもメリットが生まれている。また企画から発表までの期間を、以前は1週間以上かかっていたところが3日以内に収められるようになったという。また、団体旅行事業では、再編の結果である「全国横断型」の強みを生かした営業展開、首都圏の営業力強化、地域特性に合った拠点の再構築などを掲げる。

 成長市場のうち、グローバル戦略では欧・米・豪の市場以外に中国やアジアの市場を中心に展開し、インバウンドだけでなく、海外発海外の市場も視野に入れる。拠点や人材を補強するため、海外の有力旅行会社との提携によるネットワーク化の推進や、近鉄グループの資源を活用した営業展開、外国人採用やM&Aなどを進める考え。また、eコマース市場では、メイトとホリデイのウェブ掲載商品数の拡大やウェブ専用商品群の拡充、国内宿泊券の海外での販売、訪日外国人向けのFIT商品の展開などをはかる。

 なお、11月11日に覚書を交換したクラブツーリズムとの業務提携については、中期計画では含めていない。


▽中期経営計画財務目標
(08年見込/09年計画/10年計画/11年計画)
・連結業績目標
営業収益/748億円/800億円/823億円/849億円
営業利益/(損失)40億円/9億円/21億円/35億円
経常利益/(損失)38億円/15億円/26億円/40億円

・個別業績目標
売上高/4510億円/4660億円/4766億円/4860億円
営業収益/601億円/640億円/657億円/673億円
営業利益/(損失)28億円/8億円/14億円/24億円
経常利益/(損失)24億円/15億円/21億円/31億円

・商品別売上高目標
(09年計画/10年計画/11年計画)
国内旅行/2818億円/2862億円/2913億円
※メイト/1314億円/1366億円/1419億円
海外旅行/1677億円/1725億円/1748億円
※ホリデイ/712億円/734億円/752億円
国際旅行/91億円/100億円/110億円
その他/74億円/79億円/89億円
合計/4660億円/4766億円/4860億円


▽関連記事
近畿日本ツーリスト、中期経営計画を策定−利益重視で中核事業再生を(2008/11/12)

KNT、経営・営業戦略の機能強化で組織改正−スポーツイベント関連部署も(2008/11/13)