ハワイ・ライフ&カルチャー(2):ウクレレのルーツと音色の秘密

  • 2008年7月17日(木)
 ウクレレの音色は、どうしてこんなに心地いいのだろう。そう思ったことはないだろうか。最もハワイらしい楽器といえるウクレレの音は、なぜかどんな音楽にもマッチする。だからこそ時代を越えて愛される楽器なのだろう。ハワイ音楽はもちろん、今は亡きハワイアン・シンガーのIZ(イズラエル・カマカヴィヴォオレ)がウクレレ一本の弾き語りで歌う「オーバー・ザ・レインボー」が、映画やCMソングとして世界中の人に愛されている。小さくて手軽、それでいて心に響く音を鳴らしてくれるウクレレ。今回はそのルーツや音色の秘密に迫ってみたい。(文 Nui)


▽シリーズ
ハワイ体験レポート(27)−発祥地で楽しむウクレレの祭典(2008/07/31)
ハワイ・ライフ&カルチャー:ハワイアン・ウクレレができるまで(2008/08/07)



カラカウア王が広めたウクレレ

 ウクレレがいつ生まれたかについては、19世紀のハワイ王国時代にポルトガルからの移民が持ち込んだ弦楽器「ブラギーニャ(またはカヴァギーニャ)」がルーツ、というのが定説。ハワイへの移民が盛んだった19世紀に、ポルトガルからハワイに渡った人たちのなかに故郷の弦楽器ブラギーニャを持ってきた人がいた。ポルトガル人がその小さな弦楽器を楽しそうに弾く姿を見て、ハワイアンはそれを「ウクレレ」と呼んだ。ハワイ語で「飛び跳ねるノミ」という意味だ。

 この楽器をハワイの人々に広めるのに一役買ったのは、1879年に移民を乗せた船でホノルルに到着したポルトガル人のジョアオ・フェルナンデスという人物。ハワイ・ウクレレ史の1ページに登場すべき伝説の人だ。彼は、ハワイの人々が見守る中、ホノルル港で船を降りるなり長い船旅の終わりを祝う喜びの歌を、その小さな楽器を弾きながら歌った。それから、彼がこの楽器を手に歌う姿が、ホノルルで毎日のように見られたという。小ぶりの四弦楽器を楽しそうに演奏するポルトガル人を見て、ハワイの人々はこの楽器に一目ぼれしたようだ。

 当時の国王カラカウアは、ウクレレより少し前にハワイに持ち込まれたギターやピアノも演奏し、自ら歌を作り歌うほどで、音楽、フラ、芸術をこよなく愛していた。このため、宮廷でのフラや音楽会でウクレレを積極的に奨励したという。カラカウア王はポルトガル人が持ち込んだこの楽器に、光を見出したのだろう。西洋人に迫害されたハワイアンの伝統の踊り「フラ」を復活する努力をしていたカラカウア王は、新しい楽器で奏でる新しい音楽とともに、フラに新たな命を与えようとした。フェルナンデスを呼び、彼から弾き方を学び、自ら演奏を楽しむようになった。さらに自分でデザインしたオリジナルのウクレレを職人に作らせた。その職人は、フェルナンデス同じポルトガル移民のオーガスト・ディアスという家具職人。タンスや楽器を作る彼の工房のお得意さんだったカラカウア王は、彼をウクレレ・メーカーとしてバックアップするスポンサー的役割を担った。

 おかげでウクレレは、ハワイ音楽の伴奏楽器の中心的存在として台頭。音楽が生活に密着しているハワイでは、一家に一人はウクレレを弾ける人がいて、ハワイの家庭には一本ウクレレがあるのが常識となっていったが、やがて若い世代のウクレレ離れ、ハワイアン音楽離れが目立つようになった。1960年代ごろからのアメリカ音楽の人気に押されて、ハワイアン音楽がハワイのメインストリームから外れていった。1990年代までには、歴史あるウクレレ・メーカーとして唯一「カマカ」が、ハワイアン・ウクレレのブランドとして存在していた。

 しかし1990年代、ハワイにウクレレ・ブームが到来。ローカル・ミュージシャンによる質の高いハワイアン・ミュージックが、数多く生み出されたハワイアン・ミュージックの黄金時代を迎えようとしていた。ウクレレが効果的に使われ、新しいハワイアン・サウンドを支えていた。革新的なウクレレ・プレイで新しいウクレレ・サウンドを確立したトロイ・フェルナンデス(カアウ・クレーター・ボーイズ)と、ハワイアンの民族的な誇りを代弁するカリスマ的アーティストのIZが、このブームの中心。“古い時代遅れの楽器”が、ハワイの若者の「クールな楽器」として見直された。それに合わせてウクレレの需要が高まり、いくつかの新しいウクレレ・メーカーが生まれた。そのうちのひとつ「コアロハ」は現在、カマカと並ぶ人気メーカーとなっている。


ウクレレの仕組みと、素材ごとの楽しみ

 ウクレレは、ギターのような形をした弦楽器だが、ギターと違うのはそのサイズ。エコ・バッグやバックパックにも入ってしまう小ささが、ウクレレの愛すべき特徴のひとつだ。もうひとつの違いは弦の数。ギターが基本的に6本なのに対して、ウクレレは基本的に4本。たった4本、約2オクターブの音域ながら、コードだって弾けるし、ソロだって弾ける。そして、ポロンポロンと心地よい音を鳴らすウクレレの弦は、基本的にナイロンだ。

 サイズ、弦の数、弦の種類について、すべて「基本的に」という前置きがついているのは、実際にはいろいろなタイプがあるから。サイズに関していえば、小さいものから、ソプラノ、コンサート、テナー、バリトンと4種類ある。弦の数は、4本、6本、8本とあるが、6本も8本のウクレレも、4本の弦のうちのすべて、あるいは2本だけを複弦にしているだけ。弦の種類はナイロン、ガット、ナイルガット、(アルミニウム)巻弦がある。

 素材は、マホガニー、スプルースなどもいくつかタイプがあるが、ハワイアン・ウクレレと呼ぶにふさわしいのは、コア製のウクレレ。ハワイ人にとって、コアは他の木と一線を画す特別な木である。コアの森には大木がたくさんあり、古代からカヌーやサーフボードを作るための木材をハワイの人に提供してくれる貴重な木だった。ハワイの森に自生するコアの木は、硬く木目がきれいなことから、昔から家具や建築木材としてハワイで愛用されており、ウクレレもこの木で作るのがハワイのスタンダード。

 コアの木は神聖な木とされており、王族の人々は特にこの木を愛し、以前はハワイの王室しか使用できなかった貴重な木材で、家具や建材には必ずコアを使っていたほど。カラカウア王が建てたイオラニ宮殿の中も、コアの美しい木目に囲まれている。カラカウア王が、未来のフラの楽器となるウクレレを作らせるとき、この木を素材として選んだこともまた、自然な流れと言えるだろう。かくして、コアの木から作り出される、独特の美しい音を奏でるハワイアン・ウクレレが生まれた。

 とはいえ、マホガニーは柔らかく伸びやかな音色、コアの木は歯切れの良い音色が特徴といわれ、素材によって音色が異なるのもまた、ウクレレの面白いところ。また、製造後の年月の経過によってもトーンが変化し、乾燥が進むと大きくて明るい音色になるともいわれている。


●ハワイの重要ウクレレ・プレーヤー

ジェノア・ケアヴェ
トラディショナルなハワイアン・ミュージック、フラ・ソングを約半世紀ものあいだ第一
線で演奏し続けたハワイアン女性シンガーの大御所。ウクレレでコードをかき鳴らしなが
ら歌う典型的なハワイアン・スタイルの音楽は、チャランガラン・ミュージックと呼ばれ
今も親しまれる。
使用ウクレレ: カマカ

オータサン(ハーブ・オータ)
ハワイ出身の日系人。1964年「Sushi」でデビュー。以後、ウクレレ・プレイヤーの第一人
者として活躍。ウクレレの神様と呼ばれ、多くのウクレレ・プレイヤーに影響を与える。
代表曲に『ソング・フォー・アンナ』(1976年)がある。
使用ウクレレ: マーチン

トロイ・フェルナンデス
90年代に一世風靡したハワイ・ローカル・ミュージック・デュオ、カアウ・クレーター・
ボーイズのウクレレ&ボーカル。彼より一世代前のハワイアン・ミュージシャン、ピータ
ー・ムーンの影響を受けたスタイルと、さらにスピード感溢れるプレイ、ローカル・サー
ファー・ライフ・スタイルを反映する楽曲で、ハワイの若者に大人気となる。
使用ウクレレ: サニーD

イズラエル・カマカヴィヴォオレ
通称IZ(イズと読む)。
80年代からハワイアン・バンド、マカハ・サンズ・オブ・ニイハウのウクレレ&ボーカル
で活躍。90年代にソロ転向、ウクレレ片手に歌う幅広い音楽スタイルがハワイ・ローカル
から絶大な支持を得る。ハワイアンの心を歌うカリスマ的シンガー、IZは97年早すぎる死
を迎える。彼の人気は死後も衰えることを知らず、アルバムがプラチナ・ディスクを与え
られるセールを記録、ウクレレ弾き語りの「オーバー・ザ・レインボー」がテレビCMやハ
リウッド映画に使用され世界的ヒットを記録する。
使用ウクレレ: マーチン

ジェイク・シマブクロ
日本でもその名を知られるハワイ出身沖縄系アメリカンのウクレレ・プレイヤー。天才的
なプレイと、ドラマチックなステージ・アクトで、多くのファンを持つ。ピュア・ハート
というボーカル&ギター、パーカッション、ウクレレによる3人組ローカルバンドのメン
バーとしてデビュー。のちにボーカル・チェンジしたニュー・バンドColonを経て、ソロ転
向。コンスタントにアルバムを発表している。日本ヒット映画『フラガール』のサントラ
も担当。
使用ウクレレ: カマカ

ハーブ・オータ・ジュニア
往年のウクレレ・プレイヤー、オータサンを父に持つウクレレ・ソリスト。癒し系のメロ
ディアスな独自のスタイルを築き、ハワイアン、Jポップ、オリジナル曲をレコーディング
するアーティストとして、ウクレレ・インストラクターとして、ハワイをベースにアメリ
カ本土や日本へも活動の場を広げる。
使用ウクレレ: コアロハ


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