アバンティリゾートクラブ、国交省が行政処分−イエメン誘拐の関連で

  • 2008年7月9日
 国土交通省は7月8日、東京都の第1種旅行会社のアバンティリゾートクラブに対し、業務の一部停止と業務改善を求める行政処分を実施した。これは先ごろ、イエメンを旅行中の日本人女性2名が誘拐、同社が外務省の危険情報を確認しなかったことで企画旅行の企画・実施者としての責務を怠ったこと、2004年1月から2008年6月までの期間、名義貸しをおこなっていたことによるもの。停止する業務範囲は「自社が企画・実施する企画旅行(パッケージツアーなど)」と「手配旅行(航空券などの手配)」で、期間は7月10日から8月8日までの30日間。他社企画商品の販売と国内旅行の取り扱いは可能で、業務停止期間の前に販売した分については催行が認められるため、影響は「期間中に同社の海外企画商品を買えない」(国交省観光事業課)程度になる見込み。

 危険情報の業務改善命令では、自社が実施する企画旅行の業務について、企画・実施者として必要な措置を講ずることを求めている。具体的には、「旅行の目的地などに関し、安全に関する情報などをあらかじめ十分に調査・検討して判断すること」と「他の旅行業者に委託して販売する場合であっても、旅行業法で要求されている項目(旅行目的地の安全に関する情報などを含む)が記載された取引条件説明書面・契約書面を作成するなど、企画・実施者として必要な措置を講ずること」としている。なお、イエメンの場合、東京都の第3種旅行会社「エアークリスタル」が委託販売をおこなっており、アバンティリゾートクラブが確認する必要があった。

 なお、名義貸しは、国交省が同社への立ち入り検査を実施した際に判明。2004年1月に第3種旅行業登録を受けるにあたり、他人の経営する事業所を大阪営業所として登録を受け、2006年9月に第1種旅行業に変更登録をした後もその状態を継続、2008年6月9日に同営業所を廃止する旨の登録事項変更届を提出するまでの間、主に海外旅行にかかわる手配旅行、および自社が実施する企画旅行に関する業務を行わせるため、自社の名義を他人に利用させていた。