ANAグループ、1月以降の燃油サーチャージ据え置き−日本航空と対応分かれる

  • 2007年11月26日
 ANAグループは2008年1月から3月の国際線旅客の燃油サーチャージ額について、2007年10月から12月の額に据え置くことを決定した。シンガポールケロシン市況は、来年1月から3月の額を決定する期間である今年8月から10月の3ヶ月平均が1バレルあたり90.65ドルとなり引き上げる環境下にはあるが、「費用削減の努力、増収努力」により、「旅客への影響度や燃油費用の経営にあたえる影響を総合的に判断し」、現在の水準を維持すると決めたという。全日空(NH)によると、この8月から10月の期間は「10月末時点で75%のヘッジをしており、今年度の燃油費の上昇は想定の範囲内」(NH広報)として、今回の決定に至ったという。さらに、「ジェット燃料の取引先との価格交渉により、費用を抑えられている」(同)ともしている。一方、日本航空(JL)は「申請した額を取り下げることはしない。お客様に高額な燃油費をご負担いただくだけでなく、引き続き、人件費を含めたコスト削減を進め、結果的に燃油費の高騰への対応としたい」(JL広報部)としている。

 NHは中間期決算で燃油費、燃油税のコストは1298億円で、前年比で205億円の増額。これに対して、日本航空(JL)は今年度上期のヘッジは「うまく設定でき、前年と比べ燃油費は抑えられている」(JL広報部)という。こうした中で、JLは既に来年1月から3月の燃油サーチャージ額の引き上げを国土交通省に申請しており、NHは現行を据え置くとし、日系航空会社の対応がはじめて分かれた。今後、日系2社が就航する路線では、鮮明に価格差が生じることによる需要動向が注目されるところ。また、2社のうち、JLが就航する路線、NHが就航する路線においてそれぞれ、外国航空会社の対応が分かれると想定され、1月から3月のサーチャージ額による需要への影響は、今後の燃油サーチャージ額の設定、さらに徴収方法の議論へも示唆を与えそうだ。特にIATA運賃が4月以降に引き上げられる見通しから、「運賃来年4月以降について、今後の旅客動向を見ながら、慎重に決定していく」(JL広報部)とし、この1月から3月は今後の動向を占う試金石となりそう。