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出国者数、今後は2500万人をメルクマールに-田川氏新春会見

  • 2020年1月9日

田川氏  日本旅行業協会(JATA)は1月9日、会長の田川博己氏による新春記者会見を開催した。田川氏は昨年の業界の動向や今夏の東京五輪への期待などについて語ったほか、近年の航空路線増などにより昨年には官民が目標とする2000万人に近い規模にまで拡大した日本人出国者数の「次の節目」についてコメント。「特に(目標となる)数字を持っているわけではないが、20年ほど前から先進国の出入国数はともにその国の人口の20%くらいが当然と考えていた」と述べるとともに、日本の人口を約1億2500万人とした場合の「2500万人が1つのメルクマールになる」との見方を示した。

 今後の出国者数の増加に向けた課題としては、大都市圏以外の地方における海外旅行者数の引き上げを挙げ、「近隣諸国へは容易に行けても欧米などの長距離方面は難しいことなどもあるが、やはり20%くらいを1つのキーワードとするのが良いのでは」と主張。特に若い世代の伸びに期待する考えを示し、昨年に開始した「ハタチの一歩 20歳初めての海外体験プロジェクト」などの取り組みや、若年層に国際交流の重要性などを教える「ツーリズム教育」の重要性について語った。

 そのほかには、今年が「元年」とされる5G(第5世代移動通信システム)について言及。自身がこのほど一般社団法人の電子情報技術産業協会(JEITA)の副会長に就任したことを伝えた上で、今後の旅行業界が取るべき対応については「旅行会社の社内コンピュータシステムをいかにオープン化するか。そしてデジタルトランスフォーメーションのなかに自分たちの会社の良さをどう組み込むか」などと力説し、JATAの研究部会において他業種などとの連携の仕方について議論していることを説明した。

 また、旅行業界としての関与のあり方については「(5GやMaaSなど各業界における)インフラ整備に協力すると同時に、そのインフラを使ってできることを提案する」と述べ、「技術立国とサービス立国が融合するかがキモで、旅行業界がその一翼を担えるか。今年が正念場だと思う」と語った。

 昨年のトーマス・クックの経営破綻の原因については「航空、ホテル、オンライントラベルと、いずれもコストがかかる事業に満遍なく取り組もうとした結果の、どっちつかずの中途半端さ」とコメント。同社のライバルであるTUIについては「捨てるものは捨て、やるものはやるとはっきりしている。選択と集中が明確」と評価するとともに、今後の旅行会社の明暗については「経営者の腕」次第との見方を示した。