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アビアレップス、業容拡大へ新体制、訪日や飲食業界にも意欲

  • 2019年8月7日
ハーヴィー氏

 観光局や航空会社、ホテルなどのGSA業務を手がけるアビアレップス日本支社はこのほど、旅行業界メディアに対し今後の事業展開方針などを説明した。それによると、すでに業容拡大に向けた組織改革を済ませ、今後は主力とするアウトバウンド分野だけでなく成長市場であるインバウンド関連ビジネスの分野への取り組みも強化していく考えだ。今年7月1日付けで日本支社長に就いたた元英国政府観光庁のアシュリー・ハーヴィー氏が業界メディアに語った。

 GSAサービス企業のアビアレップスは、ドイツ本社を中心に48ヶ国に66の事務所を展開する世界的大手で、日本支社は99年に開設。日本支社では現在、17ヶ国・地域の観光局や航空会社8社、そしてホテル及びリゾート施設など8社、そしたその他6社を含めた合計39社・団体の日本におけるマーケティングやピーアールの業務を担当している。

 正規社員35名に非正規を含めて全体では40名以上のスタッフがこれらの業務にあたっており、同社では増加するクライアント数に比例してスタッフを増員してきたが、今後のさらなる成長をめざし今年4月には組織改革を実施。組織体制を見直すのは日本支社開設以降の20年間で初といい、昨年11月に副支社長に就任したハーヴィー氏を中心に取り組みを進めてきた。

 ハーヴィー氏は組織改革のねらいについて、「20年間続いてきた体制で、ワークする部分とワークしない部分の違いが目についた。各社員が担当分野のスペシャリストになりすぎていた面も見られたので、よりフレキシブルに力を発揮できる組織をめざした」と説明する。

 具体的には、従来は社員をマーケティング担当とピーアール担当に分けたうえで、各社員の担当クライアントを固定していたが、新体制ではマーケティング担当とピーアール担当をシャッフルして全体を6チームに分け、チームごとに複数のクライアントを担当する形にした。「これにより枠を超えて、クライアントのためによりフレキシブルに考える環境を整えた。さらには社員一人ひとりが、異なる複数のクライアントを抱えることで変化や刺激が生まれ仕事のモチベーションも高まるはず」と期待している。

 アビアレップス日本支社では、日本の海外旅行市場が成熟して目的地が分散化する傾向にあり富裕層も多い特性から、「オーバーツーリズム問題などを抱え、特定観光地への集中でなく分散を求め、人数よりも消費額を重視する世界のツーリズムのトレンドにマッチしている」ことから、今後もデスティネーションマーケティングを実施する対象市場として有望と予測。

 また、ハーヴィー氏は訪日需要についても「ラグビーW杯、東京五輪後も適正なプロモーションをすれば拡大を続けられる」と見ており、日本支社は引き続きアウトバウンド分野を主力としながらも「今後はインバウンド分野でのビジネス展開も強化していきたい」と意欲を示している。

 このほか、既存事業との共通点が多いフードマーケティングの分野のクライアント獲得も積極化しビジネス拡大をはかる。さらに訪日客取り込みのため海外マーケティングの強化をめざす日本のホテルや日本版DMOをアビアレップスの海外拠点を紹介したり、海外拠点と日本支社が協力して支援に取り組むなど「世界展開するアビアレップス・グループの強みを生かしたクロスセリングの強化にも将来的に取り組んでいきたい」という。

※訂正案内(編集部 2019年8月8日11時17分)
訂正箇所:第2段落第2文
誤:日本支社では現在、17ヶ国・地域の観光局や航空会社8社、そしてホテル及びリゾート施設など8社、合計33社・団体の...

正:日本支社では現在、17ヶ国・地域の観光局や航空会社8社、そしてホテル及びリゾート施設など8社、そしてその他6社を含めた合計39社・団体の...
お詫びして訂正いたします